【野球】虎戦士の間で流行った“野球部あるある”「女子を発見すると…」
たしか7~8年前くらいだったように思う。阪神の選手と報道陣の間で流行したものがあった。それは本にもなった「野球部あるある」。高校野球経験者なら誰もが“わかる!!”と妙に納得させられるもので、取材をふくらませるきっかけにもなった。
最初に教えてくれたのが記者と同じ1982年生まれ世代だった阪神の狩野恵輔。インターネットのあるページを見せてくれた。
「飛んでいる鳥とボールを見間違えて、ビクッとする時があるって分かるわ。プロに入った今でもボールと鳥を見間違えるときがあるもん」と当時、納得の表情で語っていた狩野。その他にも…
「監督が乗っている車の車種とナンバーは必ず覚える」
「ロードワーク中に女子を発見すると、自然と走るペースが上がる」
「練習が始まる放課後へ近づくに連れて雨が上がってくると、『グラウンドに水をまいてこい』と下級生に命令する先輩がいる」
「眉毛の手入れだけは欠かさない」
こんなクスッと笑える話が大半を占めていたが、世代が上がるとまた様相が違ってくる。1969年生まれで平安(現龍谷大平安)出身の桧山に話を聞きに行くと…。
「夏場の練習で意識がもうろうとして、水たまりの泥水がきれいな水に見えてくる」
1978年生まれで、天理出身の関本は…。
「トイレの水道を前にして何度も葛藤したよ。これを飲んだら…って」
当時のベテラン勢に話を聞きに行くと、大半が水にまつわるエピソードを教えてくれた。世代的に松坂世代と称された1980年生まれの選手たちが境目になったといわれているが、それまでは水を飲んだらダメだと言われていた時代だ。
特に科学的な根拠もなく「水を飲んだら疲労感が増す」「水を飲んだら動きが鈍くなる」という理由で、練習中の水分補給は禁止。試合中ですら飲めなかった。平成も半ばに差し掛かったころ、積極的な水分補給が推奨されるようになって高校野球の練習風景は大きく変わったように思う。そうではなかった世代が真っ先に挙げたのが、やはり“水にまつわるエピソード”だという。
他にも「炭酸飲料を飲んだら骨が溶ける」と教え込まれていた選手もいたとか。現在は幼少期から科学的なトレーニングが推奨され、水分補給にしても適切な方法をインターネットで調べることができる。時代が変わったからこそ、当時の無茶さ加減を面白く振り返ることができるのかもしれない。(デイリースポーツ・重松健三)