【野球】背水の4年目、広島・矢崎がIT技術による球速アップ&制球難克服で1軍誓う

 ドラフト1位で入団し、今季4年目を迎えた広島の矢崎拓也投手(25)が1軍での活躍を目指し、試行錯誤を続けている。

 矢崎の最大の武器は力強い直球だ。最速は153キロを誇るが、さらに球速をアップさせるために取り組んでいるのが、骨盤の回旋を意識した投球だ。

 このオフ、IT技術を駆使して野球データ解析を行う(株)ネクストベース(本社・東京)に足を運び、バイオメカニックスや投球理論の話を聞いた。自身の投球フォームも解析してもらい、その中でアドバイスを受けたのは、左足が着地した瞬間にしっかり骨盤を回すことだった。

 上半身と骨盤(下半身)のねじりを利用することで、効率良くボールに力を与えることができる。「今までは左足が着地したときに体が回っていない状態だった」と矢崎。骨盤をスムーズに回転させるため、これまで以上に体全体を使って投げるようにしている。

 長所を伸ばす一方で克服しなければならないのが制球難だ。今春キャンプでは1軍メンバーに入ったものの、2月24日の巨人とのオープン戦(那覇)では直球が高めに浮き、1回を2安打2四球2失点と崩れ、無念の2軍降格となった。

 制球力を向上させるために心掛けているのがストライクゾーンで勝負すること。「相手に振ってもらうことで四球の数も減らせる。ゾーンの中に投げられる確率を上げていきたい」。菊地原2軍投手コーチも「直球だけでなく変化球でもカウントを取れるようになれば。徐々に良くなっている」と話す。

 慶大から16年度ドラフトで1位入団。プロ初登板初先発となった17年4月7日のヤクルト戦(マツダ)では九回1死まで無安打無得点に抑え、初勝利を挙げる鮮烈デビューを飾った。しかし、3年間で手にした勝利はこの1勝のみ。18年は1軍登板がなく、昨季は5試合に終わった。今季は同じ東京六大学リーグ出身の森下(明大)が1位で入団。矢崎も負けてはいられない。

 開幕は不透明な状況だが、それもプラスに変える。「この時間をどううまく使っていくか」と、1軍昇格へ向けてじっくりと課題に向き合っていく。2軍も1勤1休となり、自宅で過ごす時間も増えた。家庭では妻の料理を手伝うなど良き夫だが、家族のためにもグラウンドで結果を残すことが一番だ。

 負けん気の強さと勝負度胸はだれもが認めるところ。背水の4年目。直球のキレと制球力を向上させ、逆境からはい上がる。(デイリースポーツ・赤尾慶太)

 矢崎拓也(やさき・たくや)1994年12月31日生まれ。東京都出身。右投げ右打ち。投手。176センチ、90キロ。背番号13。今季の年俸1000万円(推定)。慶応高では3年春からエースとなり、同年夏は神奈川県大会8強。慶大では2年春に4勝して優勝に貢献した。大学通算24勝12敗。16年度ドラフト1位で広島入団。旧姓は加藤。夫人の籍に入り、19年からの登録名を「矢崎」に変更した。

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