【野球】広島2年目・中神“宮崎打法”を習得 開幕延期で大胆フォーム変更
2年目の広島・中神拓都内野手(20)が、打撃フォーム変更で飛躍を期している。実戦機会がなかった開幕延期の期間に、東出2軍打撃コーチからの進言もあってDeNA・宮崎敏郎内野手(31)の打撃フォームを参考にスタイルを変えた。バットのヘッドをうまく利かせて打てる“宮崎打法”を完全取得し、大きな成長を目指していく。
試合がなくても成長できる機会がある。開幕延期で練習が続いた日々で、中神は新たな取り組みにチャレンジしている。バットのヘッドをうまく使えていなかった現状を打破しようと模索していた中、東出2軍打撃コーチから「(DeNAの)宮崎みたいにやってみれば」とアドバイスを受けた。
構えた時にバットを体の前に出して、ヘッドを揺らしながらタイミングを取るのが宮崎の特徴。実際に挑戦してみた中神も「思い切り振らなくても、捕まえた打球がいっている」と大きな手応えを感じている。
元々、構えた時に右肘が投手に隠れてしまう傾向があり、スイング時にバットが出てこない原因にもつながっていた。今は宮崎のように柔らかく手首を使いながら「右肘を見せるイメージで取り組んでいる」という。
目に見える変化に、東出コーチも「元の打ち方より、はるかにいい。試合がない期間をうまく生かしている」と目を細める。試合が続けばなかなか自身のスタイルを変えることは難しいが、練習だけの日々を送る中で大胆なフォーム変更に踏み切ることができた。
宮崎の練習方法の研究にも余念がない。素振りやティー打撃の動画も見ながら自身の練習に取り入れている。「打てる選手は工夫して練習している。マネしてやっています」。自らの引き出しを増やすための努力を惜しまず、レベルアップにつなげていく。
オフ期間から体を大きくすることにも取り組み、体重は入団時よりも5キロ増えて90キロをキープしている。打撃練習では、単調になりがちなマシン打撃よりもティー打撃を重視。「体全体を柔らかく使って」と試合での打席を常に意識しながら調整を重ねている。
19年にプロの門を叩き今季が2年目。ルーキーイヤーは2軍で87試合に出場するなど首脳陣の期待は大きい。同期入団で同じ内野手の小園が1軍でポジション争いを繰り広げていることも大きな刺激になっている。持ち前のパンチ力と“宮崎打法”から得たしなやかさを武器に、まずは2軍で存在感を示していく。(デイリースポーツ・向 亮祐)
◆中神拓都(なかがみ・たくと) 2000年5月29日生まれ、岐阜市出身の20歳。175センチ、90キロ。右投げ右打ち、内野手。背番号56。市立岐阜商では1年から遊撃でレギュラー。遊撃の他に投手も務め、147キロをマークした。高校通算46本塁打の長打力と50メートル5秒9の俊足が持ち味。18年度ドラフト4位で広島に入団。