【野球】元阪神・PJが示してきた野球へのどん欲な姿勢 惜しみない技術の伝授

 待ちに待った2020年プロ野球開幕まであと2日。コロナ禍で3カ月遅れとなったが、今年もどんなドラマが生まれるのかと想像すると自然と気分も高揚する。今回は昨季、阪神でセットアッパーとして大活躍したピアース・ジョンソン投手(29)=現パドレス=にスポットを当てて、振り返りたいと思う。

 “PJ”の愛称で親しまれた助っ人最大の武器は130キロ台の“パワーカーブ”。カーブは一般的に球速が100~120キロ台で曲がり幅の大きい球種という印象が強い。しかし、ジョンソンの投じるカーブは球速も速く、鋭く曲がり、その上落差も大きい魔球で打者を手玉に取った。

 球界からの評価が高く、フジテレビのスポーツ番組「S-PARK」で実施された現役選手が選ぶ変化球No.1にも選出されていたほど。58試合に登板し、40ホールド、防御率1・38。抜群の安定感で、強固なブルペン陣を支え続けた。ジョンソンの昨季限りでの退団は非常に痛いが、今季新加入したエドワーズやスアレスがその穴を埋められるかが今季の戦い方のカギとなる。

 ジョンソンの印象に残っている姿がある。それは一つでも上手くなるために、どん欲に野球を吸収しようとする姿勢。一流の投手が集まったオールスターでは巨人・菅野にはスライダー、DeNA・山崎にはツーシームの握り方を自ら質問するなど、投球良化のヒントをつかむ貴重な機会を最大限に活用している姿が印象的だった。

 教わるだけでなく、自らの技術も包み隠さず伝える。これがPJスタイルだ。球宴ではDeNA・今永や中日・柳にパワーカーブの握り方を教え、鳴尾浜ではチームメートの若手右腕・才木や望月に体の使い方や同球の投げ方を助言。後に本人に話を聞くと「気になった所を言っただけだよ」とサラリと答え「自分もキュウジ(藤川)サンたちに助けてもらってるからね」と、日頃受けていた感謝も忘れなかった。

 ジョンソンは異国の地、日本で誰もが認める活躍を遂げた。ただ、その裏側には日本の野球と真正面から向き合い、選手と積極的に交流を図る姿勢も活躍の大きな要因となったのではないだろうか。一つ一つの行動からも日本のプロ野球をリスペクトする姿勢のようなものも感じられた。

 活躍の場を再びメジャーリーグへと移した。日本球界は1年だったが、ジョンソンにとって大きな意味を持つ1年だったに違いない。海を越えた先でも、阪神で披露したような大車輪の活躍を遂げることを期待したい。(デイリースポーツ・関谷文哉)

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