【野球】新井貴浩氏と重なる阪神・大山 三塁争いに敗れるも思わぬ形で4番奪回の好機
思わぬ形で、大山悠輔に阪神タイガースの4番奪回の好機が到来している。4日・広島戦(マツダ)でマルテが左ふくらはぎの張りで交代。途中出場した大山は今季1号を含む2安打を放ってアピールすると、翌5日はマルテに代わり「4番・三塁」で先発出場。2試合連続本塁打を記録して起用に応えた。
それまでベンチを温める日が続いていた。オープン戦首位打者に輝くも、マルテとの三塁争いに敗れ、外野に挑戦。昨季全試合出場を果たしながら、開幕は出番さえなかった。
今の大山の姿に重ねたくなるのが新井貴浩氏(デイリースポーツ評論家)の2005年シーズンだ。その年、新井氏はラロッカとの三塁争いに敗れ開幕ベンチスタートとなるも、ラロッカのケガによって出番を得ると、初スタメンで2本塁打。終わってみれば、43本で初のホームランキングに輝いた。
「がむしゃらにやっただけ。2年間こけたからね。今年また成績を出せなかったら左投手の時にスタメンとか、代打とかそういうポジションになってくるなと感じていた。ダメならレギュラーになれないと覚悟していた」
現役を引退した後、当時のことをそう振り返っている。4番の重圧から03、04年は不本意な成績。護摩行を始め、背水の覚悟で臨んだシーズンで定位置を奪い返したのだった。
新井氏は「自分とかぶる」と大山を気にかけている。同じ右の三塁手で阪神の4番も経験した。「構えも似ているところがある」。今春キャンプではデイリースポーツ企画で4番談義に花を咲かせた。「苦しい経験が勉強になる。応援しているからな!」とエールを送っていた。
大山は9日・巨人戦(甲子園)でマルチ安打、10日・DeNA戦(甲子園)でも一発を放った。「自分の結果を残せないと生き残っていけない」。ボーアら助っ人に注目が集まるが、ファンの望むのは生え抜きの成長だ。4番もホットコーナーも奪い返す時が来た。(デイリースポーツ・杉原史恭)