【野球】阪神崖っぷちから一転…快進撃の要因は「状態優先」の打順

 15年ぶりリーグ優勝を狙う阪神が息を吹き返した。開幕4カード連続負け越し、2日時点で2勝10敗。借金8まで膨らんだが、雨天中止を経て4日・広島戦(マツダ)で連敗を止めると、そこから4カード連続勝ち越し、7勝2敗の快進撃だ。最下位も脱出した。

 開幕当初は極度の貧打に苦しんだ。3戦目に今季目玉だった「2番近本」を封印、4番ボーアも6番に下げたが、連敗地獄から抜け出せない。開幕12試合でわずか24得点。チーム打率・201は12球団ワーストだった。

 潮目が変わったのは3日に矢野監督が「状態優先」の打順を組むと明言してからだ。それまで相手先発の左右や相性を考慮して日替わりオーダーを組んでいた。二塁は糸原と上本、遊撃は木浪と北條、捕手も先発によって梅野、原口、坂本の併用だった。結果的に打線は固定され、個々の調子も上昇。マルテの離脱で出番を得た大山の爆発も大きかった。7月は打率・375、3本塁打。開幕ベンチで出場さえなかった男を4番に起用する大胆な策がはまった形だ。

 我慢もした。開幕18打席ノーヒットのボーアを辛抱強く起用。ボーアも首脳陣の期待に応えるように、7月は打率・366、5本塁打、12打点。今やチーム3冠王だ。もう一人の新助っ人サンズも7月は打率・333,2本塁打と徐々に本領を発揮。16日時点でチーム打率・241はリーグワーストだが、23本塁打は同2位。最大の課題である長打力不足は解消されてきた。

 投手陣は先発の安定感が光る。西勇、青柳が軸として奮闘し、2桁勝利を挙げた実績がある岩貞、秋山も復活の予感が漂う。一方で中継ぎは11日の守護神藤川の離脱によって勝利の方程式を模索中。ここまでは八回岩崎、九回スアレスの起用で乗り切っているが、七回は不安定な状況だ。

 一時は首位と7ゲームまで広がり、過去に優勝したシーズンの最大ゲーム差「6・5」のデッドラインを超えた。崖っぷちから虎がよみがえった。17日から甲子園で4位中日と3連戦。前回3タテを食らった竜退治から、上位浮上を狙いたい。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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