【野球】コロナ禍のプロ野球の日常とこれから 秋季キャンプは…オリックスの場合
当初より2カ月以上遅れて、6月19日に始まったシーズンも終わりが見えてきた。この異常なシーズンを選手たちはどんな風に日々を過ごしてきたのか、いくつかの証言をまとめてみたい。
オリックスが遠征先での外出禁止令を発したのは2月末のことだった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて球団は選手だけでなく、監督、コーチ、スタッフまでなるべく外部との接触を減らすよう指示した。
遠征先では球場とホテルの往復だけ。コンビニは許可されているが最寄りの店だけ。散歩はOK。食事はホテルの食事会場で取る。あるホテルでは4人掛けのテーブルに一人ずつ座って、学校のように全員が同じ方向を向いて食べる。外出禁止なので酒類も球団持ちで提供される。ただ、他人の後頭部を見ながらの晩酌は味気ないらしい。
パ・リーグの遠征地といえば、札幌、仙台、博多など大規模な歓楽街もあり、非常に魅力的。ずーっとホテルに缶詰で耐えられるものだろうか。球団関係者は「ウチの選手は本当にマジメです。出ていないですね。デリバリーを頼んでいる姿をよく見ます」と明かす。ウーバーイーツなどの全国的な普及により、どこへ行っても出前はある。出られないなら持ってきてもらおうというわけだ。
シーズンがもうすぐ終わる。だが、恒例の秋季キャンプは行われない。シーズンが11月まで行われたこと、キャンプ地に移動すれば、感染対策などで多くの人の手を煩わせることもあり、球団施設を利用しての秋季練習にとどまりそうだ。
ドラフト会議は26日に行われるが、外国人補強は例年とは違ったものになりそうだ。
「3Aもやってないし、われわれも見に行けていませんから」
球団関係者はこう説明する。NPBへの外国人供給口であるマイナーリーグがコロナの影響で中止になった。このため期待外れだからといって在籍する助っ人たちを簡単には切れない。
12月が近づけば契約更改が待っている。コロナ禍で球団の収入は大幅減となった。試合数も減った。簡単には年俸アップが望めないだろう。だが、選手サイドから見れば11月まで過密日程をこなしてきた肉体的な負担も大きかった。どこで折り合うのか。
コロナ禍のシーズンを選手たちはこんな風に過ごしてきた。シーズンオフ、そして来季がどんな風になるのかはまだ見えていない。(デイリースポーツ・達野淳司)