【野球】トリプルスリーへの道 阪神ドラ1・佐藤輝明、理想の盗塁技術を会得できるか
26日に都内ホテルで開催された「プロ野球ドラフト会議」。阪神は4球団が競合した近大・佐藤輝明内野手(21)の交渉権獲得に成功した。関西学生野球リーグ新記録の通算14本塁打をマークしたスラッガーの虎入りに全国の阪神ファンたちが沸き返った。
走攻守三拍子そろったスケールの大きい野手というイメージが強い佐藤。規格外との評判も上がる選手だ。一度、阪神に指名される前に姿を見たことがある。その時のプレーが忘れられない。
8月16日の阪神2軍VS近大のプロアマ交流戦(鳴尾浜)。八回1死走者なしから佐藤は牧のツーシームを捉え、中前打で出塁した。印象的だったプレーはその直後だ。
続く打者の打席で二盗を敢行したが、この時、佐藤はヘッドスライディングで滑り込み、間一髪のセーフ。二盗でのヘッドスライディングと言えば、中日に04年~06年まで投手として所属し、荒木よりも足が速いと噂されたドミンゴの印象が強い。あの盗塁の意図が気になり、試合後、本人に確認してみた。
「僕の中ではヘッドスライディングの方が速いと思うので…。今はいろいろと試しているところではあると思うんですけど、ヘッドの方が速く減速なく行けると思うので」
瞬時の判断で導き出した策なのかと思っていたが、意図を持っていた。佐藤の関西学生野球リーグでの通算盗塁数は「8」。50メートル走6秒0の快足を生かすにはどうすべきか。「いろいろと試している」との本人の言葉通り、最善の形を探している段階なのだろう。
約3カ月経った今、佐藤は阪神に指名された。そして指名後初実戦となった1日・大産大戦(生駒)でも二盗を成功させたが、足からの滑り込んだスライディングだった。
今後は第一線で活躍するプレーヤーや球団の走塁コーチから技術向上に向けた話や指導を受けることになる。足の速さに自信のあると話す佐藤だが「技術とかはこれから学ぶことも多いと思うので、それをプロで吸収して(トリプルスリー)できるようになれたらいい」と思いをはせる。
トリプルスリーは、日本プロ野球ではこれまでに10人しか達成していない偉業。佐藤の潜在能力の高さは抜群だ。それだけに大学時代、4年間で数字的には伸ばすことのできなかった盗塁数をどこまでプロで伸ばせるか。これからその足跡を追っていきたい。(デイリースポーツ・関谷文哉)