【野球】カープジュニア初V目指して出陣 カープOB天谷監督「一体感で戦っていく」
プロ野球12球団ジュニアチームのナンバーワンを決める「第16回NPB12球団ジュニアトーナメント」が12月29~31日の3日間、神宮球場と横浜スタジアムで行われる。広島カープジュニアも初優勝を目指して参戦。大一番が目前に迫り、週末に行われる練習にも熱が入ってきた。
赤いユニホームに身を包んだ選手たちを温かな視線で見守るのが、今年から指揮を執るカープOBの天谷宗一郎監督(37)だ。「8月のセレクション(選手選考)から見させてもらっているが、急激に伸びた選手、意外な才能を発揮する選手もいて教えがいがある」と目を細める。
「NPB12球団ジュニアトーナメント」は日本野球機構(NPB)の事業のひとつで、「子供たちがプロ野球選手への夢をより身近に感じられるように」と05年に創設された。毎年12月に開催され、今年が16回目。昨年から大会方式がTQB(得失点率)を用いた勝ち上がり方式に変更。4球団で行われる決勝トーナメントに進むためには、予選2試合は失点を減らし、1点でも多く取って勝つことがより重要になる。
対象は小学5・6年生。カープジュニアは16人の6年生でチームを構成している。8月の第1回セレクションには94人が参加。練習や紅白戦などを通して徐々に絞り込まれ、10月25日にメンバー16人が決まった。天谷監督は「野球選手の前に人としての礼儀などを学んでほしい。少年野球をやっている子供たちにとってカープジュニアはあこがれの存在。その16人に選ばれたのだから、その自覚と責任を持って行動してほしい」と語る。
中学生チームやソフトバンクジュニアと練習試合などを通してチーム強化を進めてきた。天谷監督は「選手個々の力は他球団より劣っているが、そこはチームワークでカバーしていく。本家の佐々岡監督は今季、一体感を掲げて戦った。カープジュニアも同じように一体感で戦っていきたい」と力を込めた。
定光大成主将は「みんなで楽しく野球ができている」と充実した表情。天谷監督には「打てなかったり、ミスした時もすぐにアドバイスしてくれる。いろんなことを教えてもらっています」と信頼を寄せる。指揮官は「昔の根性論の野球から今の野球はどんどん変わってきている。頭を使ったプレー、言い方は悪いかもしれないが、ずる賢さがプレーの中に出てこないと他チームより上にはいけない」と強調。“天谷イズム”をナインに浸透させてきた。
初戦の相手はDeNAに決定。「やるからには決勝トーナメント進出、そして初優勝を狙う」と指揮官が意気込めば、定光主将も「セレクションに落ちた選手のためにも優勝を目指して頑張ろうとチームのみんなで話しています」と目を輝かせた。巨人・田口(カープジュニア出身)、広島・林(タイガースジュニア出身)ら、これまで多くの選手がこの大会を経てプロの世界へ育っていった。カープジュニア16戦士も大きな夢を胸に秘め、決戦の舞台に臨む。
(デイリースポーツ・工藤直樹)