【野球】広島期待の育成選手 木下元秀が描く未来像 吉田正への弟子入りで「自分はまだ甘い」
広島の育成・木下元秀外野手(19)が支配下登録を勝ち取るため、持ち前の長打力に磨きをかけている。29日現在、ウエスタン・リーグでは打率・316、1本塁打、8打点と好調をキープ。昨オフは敦賀気比の先輩であるオリックス・吉田正尚外野手(27)に弟子入りし、打撃術を学んだ。“正尚イズム”を心掛けながら、長打量産を目指していく。
育成2年目の今季は開幕から勢いに乗っている。23試合中14試合にスタメン出場。クリーンアップを打つことも多く、打率は・316をマーク。規定打席到達まであと4打席に迫っており、早ければ30日の阪神戦(由宇)で打率部門の上位に顔を出す。
それでも本人は「調子がいいとは思っていない。自分の求めているものは出ていない」と不満顔。持ち味である長打が少ないことが納得のいかない理由だ。18安打中、単打は12本。二塁打は5本放っているものの、本塁打は15日の中日戦(由宇)で放った右越えソロのみ。「やっぱり長打や本塁打を求めていかないと。単打が多いので満足はできていない」。東出打撃コーチも「練習からもっと遠くに飛ばさないといけない」とゲキを飛ばす。
長打量産に向けて取り組んでいるのはタイミングを意識した打撃だ。昨オフは敦賀気比の先輩、オリックス・吉田正に弟子入り。パ・リーグ首位打者から打撃の極意を学んだ。「一から十まで全部教わりました。一流選手があれだけ考えながらやってる。自分はまだ甘いんだなと思った」と刺激を受けた。
特に心に響いたのは「打撃はタイミング。タイミングさえ合えば打てる」という言葉だった。投球テンポに合わせるのではなく、自分のタイミングでバットを振り切ることの大切さを教わった。試合でも当てにいく打撃にならないように、自分のポイントまでしっかり球を呼び込んで打つことを心掛けている。
昨季はチーム2位の7本塁打をマークした。1割台に終わった打率(・180)も今季は大幅に改善。確実性は着実に上がってきているだけに、持ち前の長打力と両立させたいところ。「すぐクビになる世界。結果を出していけるようにしたい」。まずは一日も早い支配下登録を果たすためにも、懸命にバットを振り込んでいく。(デイリースポーツ・赤尾慶太)
◆木下元秀(きのした・もとひで)2001年7月25日生まれ。大阪府堺市出身。左投げ左打ち。外野手。183センチ、91キロ。背番号124。今季の年俸270万円(推定)。敦賀気比高では投手と野手の二刀流。2年夏にエースとして甲子園に出場したが、その後、左肘を痛めて外野手に専念。3年夏の甲子園では4番として12打数7安打6打点の成績を残す。高校通算38本塁打。2019年度育成ドラフト2位で広島に入団。