【野球】各カテゴリ一体化の「侍ジャパン」プロ・アマの“結束”が生かされるか
東京五輪に出場する侍ジャパンがいよいよ28日に初戦を迎える。メンバー24人には各球団の主力がそろう中、目についたのは初選出組の選手ら。巨人・菅野智之投手の辞退を受けて追加招集された日本ハム・伊藤大海投手を含めて7人のうち、アマチュア時代も日本代表経験がないのは阪神の青柳晃洋投手、岩崎優投手、西武・平良海馬投手のみだった。
広島・森下暢仁投手はトップチームで初めて日の丸を背負うが、大分商時代の2015年には侍ジャパン高校代表、明大時代には17~19年と3年連続で侍ジャパン大学代表としてプレーするなど国際経験が豊富だ。
稲葉篤紀監督もメンバー発表記者会見で、「(アマチュア時代に)ジャパンを経験している。どんな状況であっても自分の投球をしてくれると試合を見ながら感じた」と抜てきの理由を明かし、新戦力ながら期待感は大きいように映る。
同じく広島から選出された栗林良吏投手も名城大時代の17年に侍ジャパン大学代表に選ばれている。国際大会では他にもトヨタ時代の19年に社会人選抜としてアジアウインターリーグに参戦し、現在も担う守護神として活躍。日本ハム・伊藤も18、19年の侍ジャパン大学代表を経験するなど、いずれも国際舞台を複数年にわたって肌で感じてきた右腕だ。
13年からはプロ・アマの垣根を越えて、トップチームを頂点に社会人、U-23、大学、U-18、U-15、U-12、女子野球を含めた全カテゴリの日本代表が「侍ジャパン」として総称されるようになっている。いずれも同じユニホームを着用して国際大会に参戦。“結束”がテーマとして掲げられ、一体となって世界に挑む枠組みができている。
稲葉篤紀監督の就任以降は18、19年の侍ジャパン大学代表の合宿にトップチームの指揮官として自ら足を運んできた。18年には「侍ジャパンの誇りを胸にしっかり勝てるように頑張ってほしい」とエール。メンバー一人一人と握手をし、激励を送った。
加えて報道陣から当時のメンバーから東京五輪の代表選出について問われると、「可能性というのはある」と期待を込めていた。実際に森下、伊藤は当時の“大学侍”の主力。二人が活躍すれば、各カテゴリを一体化してきた成果が結実したことにもなる。東京の舞台で“結束”の真価が発揮されるか、注目したい。(デイリースポーツ・佐藤敬久)