【野球】2軍調整中の広島・今村が再起にかける思いとは「前を向いてやるしかない」
2軍で調整中の広島・今村猛投手(30)が再起への胸中を明かした。16年に67試合、翌17年も68試合に登板するなどフル回転でチームのリーグ3連覇に貢献した右腕。しかし昨年は6試合の登板にとどまり、今季はまだ一度も1軍昇格を果たしていない。かつての球威を取り戻し、鉄腕復活を目指す。
復活に向けた歩みを着々と進めている。8月は降雨の影響で2軍戦の中止が多かった。実戦から離れて調整の難しさもあったが、今村は「練習自体は充実したものをやれている。球速アップ、球の質を上げること。全てにおいてレベルアップできるように」と前向きな日々を送っている。
求めるのは球の質。かつてのような球威を取り戻すため、試行錯誤を重ねる。キャンプ中から過度に力を入れない“脱力フォーム”に取り組み、現在も継続中。「良かった時のものや、それ以上を求めたり、また違ったいいものを探したりを繰り返している。どれだけ打者が嫌な反応をするかを求めてやっていきたい」と話す。
10日・オリックス戦(オセアン)では六回から登板。先頭の平野大に左前打を許したものの、続く太田をスライダーで三ゴロ併殺。佐野如を右飛に仕留めて無失点に抑えた。9日ぶりのマウンドだったが、最速144キロを計測。「手探りな感じで(試合に)入ったけど、思ったより良かった」。19日・ソフトバンク戦(由宇)でも最速145キロをマークするなど、徐々に球威は戻ってきている。
16年からは2年連続で60試合以上に登板。17年には23セーブを挙げるなど、タフなリリーフ右腕としてチームのリーグ3連覇を支えた。だが、20年はわずか6試合の登板にとどまり、プロ12年目の今季はここまで1軍昇格の機会がない。8月26日時点で2軍では29試合に登板。すべてリリーフで0勝1敗、防御率2・73とまずまずの数字を残しており、もどかしさを募らせながらも、現状打破への思いを胸に刻む。
「前を向いてやるしかないと思います。いろんなことをチャレンジする上で、後退することもあると思う。それも勉強と思いながら、少しずつ進んでいければ」。投手陣は世代交代を迎えつつある。栗林ら即戦力ルーキー3人が加入し、イキのいい若手も次々と台頭してきた。2021年4月に30歳になった右腕が置かれた状況は厳しいが、このままで終わるつもりはない。闘志を内に秘め、1軍舞台への返り咲きを目指す。(デイリースポーツ・向 亮祐)
◆今村猛(いまむら・たける)1991年4月17日生まれ。長崎県佐世保市出身。183センチ、94キロ。右投げ右打ち。清峰高で1年夏からベンチ入りし、3年春のセンバツで優勝。09年度ドラフト1位で広島に入団。2年目の11年にプロ初勝利を挙げ、12年には自己最多の69試合に登板。今季年俸は6000万円(推定)。