【野球】不振に苦しむ阪神・佐藤輝 3年前に32打席無安打の巨人・岡本和はどう乗り越えたのか
阪神・佐藤輝明内野手(22)が25打席連続無安打と大きな壁に直面している。29日・広島戦(マツダ)。5点を追う九回2死二、三塁で登場したが、島内の前に空振り三振。ゲームセットとなった瞬間、打席の中で、ぼう然と立ちつくすしかなかった。
思えば18年に巨人担当をしていた頃、若き主砲・岡本和真内野手も同じように苦しむ姿があった。高橋前監督から4番を託されながらも、6月下旬から32打席連続無安打。試合後、球場から引き揚げる姿からは悔しさがにじみ出ていた。
岡本はナイターが行われる試合前の午前中に、自宅からジャイアンツ球場へと足を運び黙々と打ち込む姿があった。そして、東京ドームに移動してもフリー打撃でとことん打ち込みを敢行。不振脱却を目指し、一心不乱にバットを振った。
18年・7月5日のDeNA戦(東京ド)で左中間への適時二塁打を放ち、33打席目に安打が出てからは表情も晴れた。その後、岡本に取材した時に「打てなくても(指揮官が)使い続けてくれたことが一番でした」と明かしていた。
練習で感覚を研ぎ澄ましていきながら、打席の中で好感覚のイメージをすり合わせていく。継続的に試合に出た上で本調子に戻し、そこから史上最年少の「3割・30本・100打点」達成への軌跡につながっていった。
全試合出場中の佐藤輝は29日の試合前、矢野監督から10分弱の打撃指導を受けた。打撃構えから足の動きまで細部にわたる部分の指摘を受け、真剣な表情で怪物ルーキーは耳を傾けていた。不振脱却のヒントを探ろうと懸命にバットを振り、感覚を確かめるように打撃練習に励んでいた。
後半戦前からバットの握り方を変更。トップの位置を下げたりするなど、打撃の良化を目指してきた。佐藤輝の頭の中で理想とするスイングのイメージはしっかりとあるはずだ。指揮官からの指導を取り入れながら、あとはどのように修正していけるか。試合に出場し、打席に立つ中で、打撃の感覚を磨いていくしかない。
チームトップの23本を放っているだけに当然、周囲からの期待値も高くなる。3年前の岡本のように1本でも「H」ランプを光らせることができれば、風向きも変わるはずだ。31日からの中日戦(甲子園)で復活の号砲を鳴らし、自身の流れを変えるきっかけにしたい。(デイリースポーツ・関谷文哉)