【野球】戦力外通告の広島・中村恭「感謝の気持ち大きい」 19年は「勝利の方程式」入りも

 広島の中村恭平投手(32)が戦力外通告を受けた。19年に自己最多の43試合に登板したが、昨季は14試合。今季は1軍登板がなかった。ケガに泣き、思うような投球ができなったのが不振の要因だった。今後は現役続行を希望している。

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 中村恭は戦力外通告を受けた直後、素直に気持ちを吐露した。「終わったんだな、という感じがあります」。今季は一度も1軍登板なし。もがきながら試行錯誤を繰り返したが、本来の輝きを取り戻せなかった。

 故障によりフォームを崩した。昨年の春季キャンプで右腹直筋を損傷し出遅れると、シーズン中にも再発した。今季もそれが尾を引き、思うように腕が振れず直球に力強さが戻らなかった。

 「何とか僕なりにと思ってやったけど。納得いく球を投げられないことが多かった」。11日のドラフト会議でチームは即戦力左腕2人を指名。「まだ左にいくんだ…」。名前が挙がる度に覚悟した。

 10年度ドラフト2位で入団。背番号は同年に現役を引退した高橋建がつけていた「22」だった。13年のプロ初勝利とともに、中継ぎとして自己最多の43試合に登板した19年が思い出深いという。

 「勝っている展開で出させてもらっている時は、すごいありがたいことだなと思った。マウンドで喜びを感じながら投げられた」

 シーズン終盤には「勝利の方程式」の一翼を勝ち取った。筋力トレを再開するなどしてフォームの土台が固まったことが活躍のきっかけ。150キロを超える直球の制球力が上がり、スライダーも自信を持って投げ切れるようになった。

 17年に結婚し、守るべき人ができた。今後については「プレーできるのであればプレーしたいという気持ちもあります。家族とも相談したい」と話した。12月に行われる12球団合同トライアウトへの参加も検討していく。

 広島のユニホームで11年プレーした。「なかなかうまくいかないことの方が多かったんですけど、長い間、野球をやらせてもらったので感謝の気持ちが大きいです」。中村恭は無念さを胸にしまい、言葉を紡いだ。(デイリースポーツ・市尻達拡)

 ◆中村恭平(なかむら・きょうへい)1989年3月22日生まれ。福岡県出身。投手。左投げ左打ち。185センチ、86キロ。立正大淞南では1年秋からベンチ入り。甲子園への出場はなし。富士大に進学し才能が開花。150キロ超の直球を武器に北東北リーグでは通算5勝で防御率1・78を残した。10年度ドラフト2で広島に入団した。通算成績は97試合に登板し2勝11敗、13ホールド、防御率4・23。

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