【スポーツ】駅伝シーズン開幕 “主役”は出雲制した東京国際大か 青学・原監督も脱帽の総合力
今年も駅伝シーズンが始まった。昨年はコロナ禍により中止された大学三大駅伝の初戦、出雲駅伝は10月10日に2年ぶりに開催され、初出場の東京国際大が初優勝を飾った。創部11年目のチームが頂点をつかんだことで、全日本大学駅伝(11月7日)、箱根駅伝(来年1月2日、3日)もより一層激しい戦いが繰り広げられることが予想される。
東京国際大は今年1月の箱根駅伝で各校のエースが集う“花の2区”でケニア出身のビンセント・イエゴン(3年)が14人抜きの爆走を披露し、一気に注目度が上がった。出雲駅伝ではビンセントをアンカーに配置し逆転勝ちも視野に入れていたが、1区で山谷昌也(3年)が好位置につくと、3区で丹所健(3年)が区間2位の快走。“ビンセント頼り”ではない、総合力を示すレース運びに、レース途中で青学大の名将・原晋監督(54)が脱帽するなど、今季開幕早々、ライバル校に十分なほどのプレッシャーを与えた。
東京国際大駅伝部は2011年に創部し、今年で11年目。1年目は選手3人、マネジャー1人の計4人でスタートし、2年目に27人の新入部員が集まった。当時は20キロを走ることができず、ペースも1キロ4分と女子と同じくらいのペースだったという。創部以来、指揮を執る大志田秀次監督(59)は「女子と同じくらいのペースでも、それをやっていかないと、ペースを速くしても強くならないのでやり続けた。1キロ4分ペース。20キロやりたいのにも走れないので16キロとか。最初の箱根の予選会に出たときには16キロを中心に練習していた。あと4キロは余力で走れと」と振り返る。
創部5年目の16年に箱根駅伝初出場。昨今は入部してくる選手の質も上がってきたという。OBには東京五輪陸上男子1万メートル代表の伊藤達彦(ホンダ)が名を連ね、現チームは「(5000メートルが)13分台、14分1桁の選手も入ってくれたし、来年もまた(1万メートル)28分台の高校生が入ってくる。少しずつ戦力は上がってきている」。また、丹所など大学入学後に高校時代のタイムを縮めている選手もおり、「強化もしっかりできてきた」と手応えを感じている。
出雲駅伝は大学三大駅伝の中で最も短い6区間45・1キロで行われ、あとの2戦は距離が長くなっていく。全日本大学駅伝は8区間106・8キロで、青学大の原監督は「また東京国際が本命じゃないですか」と東京国際大の2冠も覚悟している。ただ、往復で10区間217・1キロの箱根駅伝では「10区間プラス距離があった方がうちは良い。上り下りは自信がある」と前回4位の雪辱を果たすべく、勝ちを譲る気はさらさらない。
前回の箱根駅伝は駒大が大逆転劇で総合優勝を勝ち取った。強豪・青学大、そして出雲駅伝覇者の東京国際大と、来年の箱根路も混戦となるだろう。どの大学に勝利の女神が笑うのか、楽しみだ。
(デイリースポーツ・森本夏未)