【野球】プロ野球人・新庄剛志の出発点は1990年春季キャンプのランチ特打だった

 新庄剛志日本ハム監督(49)が誕生した。球界の内外で期待する声、指導経験のないことを不安視する声-などさまざまな意見が渦巻いている。だが、低迷が叫ばれる日本プロ野球界(NPB)で、新庄の球界復帰が早くも“化学反応”を起こしていることは間違いない。来年の春季キャンプ、オープン戦を通じて新庄野球の一端が、徐々に明らかになってくるだろう。

 私は1990年、高知・安芸で行われた阪神の春季キャンプで、新庄がプロ野球選手として覚醒した瞬間に立ち会ったと思っている。その場面は、ランチタイムに行われる新人の特打だった。キャンプでは1、2軍は別メニューで練習している。

 中村勝広監督(故人)の就任1年目ということもあり、新人選手を取材するのは、即戦力扱いで1軍のキャンプメンバーだったドラフト1位の葛西稔、同2位の岡本圭治ぐらいなもの。高卒でドラフト5位指名だった新庄を取材したのは、前年12月に実施された新人入団発表しか記憶になかった。

 入団発表当日、新庄と話して覚えているのは2点だけ。ひとつ目は「プロ野球選手になっていなければ」という質問の答え。「プロ野球選手になっていなければ、サッカー選手になりたかった」だった。

 もうひとつは福岡ダイエー(現ソフトバンク)ホークスに1位指名されながら、巨人入りを希望して入団を拒否していた元木大介に対するコメントだった。新庄は確か「希望がかなうように頑張ってほしい」と話したと思う。後にエンターテイナーぶりを発揮したとは別人のような真面目な高校生だった。

 背番号「63」のドラフト5位の選手。正直、1軍に上がってくるまでに最低でも3年、いや5年はかかると思っていた。ところが、ランチタイムの特打には度肝を抜かれた。

 実戦ではなく、打撃投手の投げるボールを打つだけだった。だが、何気なく眺めているとフルスイングしたバットにははじかれたボールは、面白いようにスタンドに飛び込んでいった。

 圧巻の特打に、夢中でスタンドに飛び込んだ数のカウントを始めたところ、途中からでも80本を超す打球がスタンドインしていた。数えていなかったものを含めれば確実に100本は超えていた。後に巨人担当になり、若かりしころの松井秀喜のフリー打撃をみたが、それに優るとも劣らない衝撃度だった。

 慌てて特打終了後、新庄を捕まえて取材したのだが、そのときに言われた言葉は今でも鮮明に記憶している。「こんなときばかり取材にきて…。今は話しますけど、僕が有名になったらもう話しませんからね」と、本気とも冗談とも分からないせりふだった。人を食った対応だったが、不思議に不愉快な気持ちにはならなかった。

 今思えば、あの日のランチ特打、そして取材対応が、プロ野球人・新庄剛志の出発点だったと思えてならない。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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