【野球】偉大な先輩に続け プロも注目する“小園2世”と“達2世”

 10月11日に行われた2021年度ドラフト会議では、市和歌山・小園や高知・森木、ノースアジア大明桜・風間、天理・達など、注目度の高かった高校生投手たちがドラフト1位指名を勝ち取った。

 そんな中、早くも来秋のドラフト候補生として、DeNAから1位指名を受けた小園健太(市和歌山)と、日本ハムから1位指名を受けた達孝太(天理)の“2世”になるかもしれないと注目される2投手がいる。

 小園2世になり得る逸材は、小園から背番号1を受け継いだ市和歌山の新エース・米田天翼(つばさ)投手(2年)だ。174センチ、80キロと体格はまだ細身だが、すでに現時点で最速148キロを誇る本格派右腕。伸びのある直球に加え、スライダーやフォーク、カットボール、チェンジアップなど計6種もの変化球を巧みに操る姿は、小園によく似ている。

 10月16日の近畿大会で、米田は1年後のビジョンについてこう語った。「指名される瞬間を学校の教室で見た。来年、自分も同じ立場(1位)でドラフトを迎えたい」。

 1学年上の小園とは、入学直後から常に一緒に練習してきた。いつも「一緒にやろう」と気にかけてくれたといい、1年の夏頃には「もっと細かい変化球投げてみたら?」とブルペンでアドバイスを受け、小園が得意とするカットボールとツーシームを直々に教わった。さらに、今秋は近畿大会の2週間前に習得したというフォークが加わり、より一層投球の幅が広がった。

 半田真一監督も「小園の存在は大きいと思う。(追いつくには)まだまだですけど、米田は小園以上にストイックな面がある。もっと自分の色を出していってくれたら」と期待を寄せている。「小園さんの投球は見ている人を楽しませることができる。自分もそんな投手になりたい」。一冬越えて、小園先輩のような世代を代表する投手へと成長していく。

 天理の新エース・南沢佑音(ゆうと)投手(2年)も、達の背中を追っている。チームの中でも目立つ188センチの長身サイドスロー右腕は「理想は達さん。投げたらチームを勢いづけるような、影響力のあるピッチャーになりたい」と目を輝かせる。

 今秋は奈良3位で近畿大会に進んだが、南沢が1回戦(対滋賀学園)、準々決勝(対市和歌山)と2戦連続で完投し、来春のセンバツを当確させた。だが、南沢本人は「本当はサイドじゃなくて、上(オーバースロー)から投げたいんです」と全く満足していなかった。

 中学時代もサイドスローだったというが、中村良二監督や達からも「身長を生かして投げたら?」とアドバイスを受け、入学直後はオーバースローに転向。達を意識したフォームと自分が投げやすいフォームの中で試行錯誤を重ね、何度も修正を続けていたが、今秋の奈良大会・準決勝(対高田商)で6回12失点と大乱調したことをきっかけにサイドスローに戻した。だが、「今の自分に合ってるのはサイド。でもこの冬でしっかり体が作れたら、上から投げられるようになると感じている」と諦めるつもりはないという。

 あるスカウトも「達みたいに投げるようになればおもしろい。まだまだ伸びてくる素材だと思う」と太鼓判を押す。伸びしろしかない長身右腕の今後に、期待が高まる。(デイリースポーツ・永井優花)

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