【野球】大谷と思考重なる、怪物スラッガーの花巻東・佐々木麟太郎

 米大リーグで今季ア・リーグのMVPに輝いたエンゼルス・大谷翔平の母校である花巻東に、新たな怪物候補が現れた。佐々木洋監督の長男・麟太郎内野手(1年)は今秋の公式戦終了時点で高校通算49本塁打。驚異的なペースでアーチを量産している。

 初の全国舞台となった11月の明治神宮大会でも左すねの疲労骨折を抱えながら、前評判にたがわぬ実力を発揮した。国学院久我山との開幕戦では第1打席のファーストスイングで一発。広陵との準決勝でも一時同点となる3ランを放つなど、打率.600、2本塁打9打点をマークした。

 偉大な先輩である大谷が偉業を達成する年に入学し、中学時代は大谷の父・徹氏が指揮する金ケ崎シニアに所属しているなど何かと縁がある。「大谷選手の背中を見て、自分も花巻東に入りたいと思って入ってきたと言うのも事実」と本人も憧れは隠さない。

 高校時点で見据えるビジョンでも、麟太郎は大谷と通じるものがある。得意科目は日本史で、好きな歴史上の人物は自らの名前の由来となった勝海舟(幼名が「麟太郎」)。「初めて船でアメリカに行った方でもありますし。自分もいままでやったことがないような新たな道を切り開けるように」。真っすぐな思いで、ひたむきに取り組んでいる。

 一方の大谷も花巻東在籍時から、周囲を驚かせるような“野望”を持ってプレーしてきた。「(高校時代に大谷が)世界最高のプレーヤーになるって、この道の開拓者になるということを書いていた紙があってですね」と恩師の佐々木監督。世界最高峰で投打二刀流を実現し、まさしく有言実行となった形だ。

 “切り開く”、“開拓者”-。ともにパイオニア精神を抱いているのが印象的だ。意識の高さが異次元のパフォーマンスを支えているようにも映る。麟太郎も中学時代は投手を経験。「複数ポジションを守っていければいい」と再挑戦への意欲もある。“二刀流”が実現すれば注目度はますます高まるに違いない。

 高校生最多とされる早実・清宮幸太郎(現日本ハム)が持つ111本塁打の記録更新に期待する声も、すでに聞こえ始めてきた。数多くの重圧がのしかかる中でのプレーだが、高校生離れした思考で打ち砕いていくことを予感させる存在だ。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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