【野球】新庄ビッグボスはどこまで“新庄剛志”を演じられるのか 蘇るミスターGのつぶやき
日本ハムの新庄剛志ビッグボス(49)は、どこまで“新庄剛志”を演じられるのだろうか。日本ハムの監督就任以来、日本球界に旋風を巻き起こしているが、すべて計算され尽くした上での言動だと思う。
恩師でもある故野村克也監督が、他人には予測できないビッグボスのパフォーマンスに「宇宙人」と名付けたことがあった。だが、私は記者として阪神入団のころの新庄を取材したにすぎないが、彼の言動は俗にいうところの“天然”ではないと考えている。ビッグボスは独自の理論に基づいて動いていると思っている。
そう思いを巡らしていると、かつて番記者として密着取材していた巨人の長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)がフッと漏らした言葉がよみがえってきた。確か当時、不定期で行われたいた懇親会中のことだったと記憶している。なにかの拍子に、監督の口から「長嶋茂雄をやるのも大変なんですよ」という言葉が飛び出てきた。
長嶋監督は数々の名語録だけでなく、迷語録、珍語録も残している。ある意味それを楽しみにしている番記者連中がこの言葉を聞き漏らす訳がない。「職業が長嶋茂雄ということですか」-などと突っ込む言葉が殺到、一瞬懇親会は騒々しくなった。もちろん、まともに返答するミスタージャイアンツではない。いつものように「エッヘッヘ」と笑い、その話題を打ち切ってしまった。発言の真意は、いまだ不明である。
プロ野球の発展に寄与し、野球界で初の文化勲章を受章した長嶋茂雄という名称は、職業ではないかもしれないが、単なる一個人名でもない。「長嶋茂雄」は特許庁のホームページによると「株式会社オフィスエヌ」が、商標権者になっている商標である(登録第5401366号)。この会社は娘の三奈さんが代表取締役を務めている。
商標登録というのは、商品やサービスの目印(商標)を守る国の制度の下、その目印(商標)を国に登録することである。自分がビジネスで使うネーミングやロゴマークのような商標を国に登録しておけば、国から「商標権」という法的な独占権が与えられ、その商標を使うビジネスを守ることができる。仮に他社が商標権を侵害した場合は、商標権者は損害賠償請求をしたり、その商標を使用した商品の販売やサービスの提供を停止するように求めることができるのである。
それだけ「長嶋茂雄」という名前の価値は高い。ビッグボス・新庄剛志もこれからますます世間が期待する「新庄剛志」を演じ、その名前の持つ価値を高めていくのか、楽しみである。=敬称略(デイリースポーツ・今野良彦)