【野球】巨人ドラ1・大勢で思い出す背番号15 伝統の一戦で力を発揮した河原純一
巨人のドラフト1位右腕・大勢(22)はかつての背番号15・河原純一(49)のように、阪神との伝統の一戦で力を発揮できるだろうか。
翁田大勢(登録名大勢)の評判が日に日に高まっている。3日に東京ドームで行われた西武とのオープン戦では、中継ぎとしてプロ初登板。150キロを超すスピードボールを連発し、開幕1軍に一歩前進した。
巨人で背番号「15」といえば、エースのジョーと呼ばれた城之内邦雄(82)や現在、MLBのレッドソックスに所属する沢村拓一(32)がいる。だが、1994年に巨人を逆指名し駒沢大からドラフト1位で入団した河原も忘れられない投手である。
私は河原の入団当時、巨人担当をしており、母校に巨人のスカウトがあいさつに訪れた際などから取材した。後に「鉄仮面」とあだ名がつけられたが、当初から口数が少なく物静かな青年という印象だった。「こんなにおとなしくてプロでやっていけるのだろうか」とも思った。
だが、95年の宮崎キャンプのブルペンで彼の投球を目の当たりにしてそんな思いは吹き飛んだ。ヒジの使い方が柔らかく、細身の体から繰り出されたストレートのキレは抜群で「さすが巨人のドラフト1位」とうなったことを覚えている。遅かれ速かれ、槙原寛己(58)、斎藤雅樹(57)、桑田真澄(53)という3本柱に続く存在になると思った。
プロ初登板・初先発となった95年6月3日の広島戦(東京ドーム)では、先頭の野村謙二郎(55)に先頭打者アーチを浴びるなど7回4失点で敗戦投手にはなった。だが、キャンプ中から、当時の堀内恒夫コーチ(74)が「俺の投手コーチ生命をかけて。先発完投型にしてみせる」と豪語した言葉にうそはなかった。右肘側副靱帯(じんたい)断裂で離脱した桑田の穴を埋め、14試合に先発し8勝6敗、防御率3・31とまずまずの成績を残した。
特に虎キラーぶりは神がかっていた。95年7月9日の阪神戦(東京ドーム)に先発し、10奪三振でプロ初勝利、初完投、初完封を飾った以降は、面白いように阪神打線を封じていった。この試合を含めて3試合連続完封を含め、6勝を挙げたからだ。
その後、プライベートの騒動や故障に泣いたシーズンもあったが、2002年には守護神として復活。5勝3敗28セーブで原巨人日本一の立役者のひとりにもなった選手である。
阪神は昨年、最後の最後までヤクルトとリーグ優勝を争ったチーム。ペナント奪回、日本一を目指す巨人にとっては負けられない相手だろう。大勢は河原とはまったく違うタイプの投手だが、背番号「15」が伝統の一戦で躍動すれば、巨党には歓喜、虎党には悪夢が訪れることになるが…。(デイリースポーツ・今野良彦)