【野球】落合博満氏はまさに正反対 新庄発言に異を唱えた名将の監督就任会見

 「あれは理解できない。勝つためにやるのがプロ野球の世界。それを優勝しなくてもいいと出てきた時点でクエスチョンマークでしたね」

 6日、テレビ東京で日本ハム対巨人の解説を務めた元中日監督の落合博満氏(68)が、新庄ビッグボスの監督就任会見での「優勝なんて一切目指さない」という発言を疑問視し、異論を唱えた。

 さかのぼること19年前。2003年10月8日。グレーのスーツに身を包み、名古屋市内の中日パレスで監督就任会見に臨んだ当時49歳の落合氏は、「育てながら勝つ。負けてもいいと思ってる指揮官はいない。優勝を狙えるだけの戦力を預かるわけだから、当然優勝を狙う。ここは絶対にぶれないところ。チーム内に潜在能力を持った若手がいる。彼らの力を10%底上げできれば、トレード、外国人、FAに関係なく、優勝を狙えるチーム力はある。優勝を勝ち取るかじ取りをしていきたい」と、監督就任初年度でのリーグ優勝を唯一無二の目標に掲げた。

 「プロ野球選手は個人事業主。自分の給料を上げるために、全力を尽くしてくれればいい。チームプレーに徹しようなんて思わなくていい。オレは優勝する、勝たせるための采配を振るけど、選手は優勝しようなんて考えなくていい。自分の成績を上げることだけ考えればいいんだ。負けたらオレの責任。ただそれだけのこと」

 キャンプ初日の紅白戦、シーズンを見越しての6勤1休キャンプなど、当時の“慣例”を無視した落合監督の斬新なスタイルは、10月1日に優勝という形で実を結んだ。

 選手の処遇、立ち位置を差別化する1軍、2軍という表現を嫌い、「BIG組」「BOSS組」という呼称を用いた新庄ビッグボス。常に1死満塁を想定した紅白戦。走者がいなくても、外野への飛球を捕球した後には、すぐさま内野に返球する“実戦のための実戦”を義務化したところなど、固定観念に縛られない野球には、落合氏とある種“共通”した独自の野球観を感じる。

 新庄ビッグボスは今年を選手の力量を見極める1年と位置づけ、「優勝なんて一切目指さない」とは言ったが、見極められる側の猶予は1年限りなだけに、全員が背水の陣とも置き換えられる。言葉のマジックが加速させる成長スピード。今シーズン、日本ハムがどんな順位になるのかも楽しみだが、新庄ビッグボスが魔法をかける選手たちの進化の方が楽しみだ。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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