【スポーツ】アメフト挑戦視野のアマ横綱・花田秀虎 3代目若乃花断念の“二刀流”を実現できるか
アメリカンフットボールの世界最高峰リーグNFL挑戦も視野に入れる、アマ横綱の花田秀虎(20)=日体大2年=は、66代横綱・3代目若乃花が断念した“二刀流”を実現できるのだろうか。
大相撲の大阪場所が13日、初日を迎える。新大関・御嶽海の相撲などに注目が集まる。だが、相撲の話題といえば、大学1年生で2020年の全日本相撲選手権を制覇した花田秀虎が、日本の社会人アメリカンフットボール「Xリーグ」の合同トライアウトに参加したことも忘れてはならない。
相撲とアメフトの“二刀流”といえば、頭に浮かぶのが3代目・若乃花として角界の最高位にまで上った、タレントの花田虎上だろう。私は相撲担当として彼の引退場所やその後を取材した経験がある。
2000年3月の大阪場所である。力士としては小兵ながら強靱(きょうじん)な下半身で横綱に昇進したものの左太ももや外側靱帯(じんたい)の故障が回復せずに場所中に引退を発表。年寄藤島を襲名したが、その年の12月18日に日本相撲協会に退職届を提出しスポーツキャスターに就任した経緯がある。
この突然の発表会見には驚かされたが、アメフト挑戦も衝撃的だった。確かに、花田虎上(当時は花田勝)のアメフト好きは有名だった。だが、2001年には日本一を決めるライスボウルでも優勝した、社会人の名門チーム・オンワードスカイラークスに入団。その後、NFL挑戦を視野に入れていると聞いたからだ。正直、このときアメフト未経験の上、30歳という年齢だったことを考えれば、どこまで成長できるのか-と考えていた。
それでも翌年8月にはXリーグに守備のラインバッカーとして選手登録され、私も現場にいた9月17日に東京ドームで行われたLIONS戦の第2クオーターで、わずか1プレーながらDFラインで初出場を果たした。
結局、試合出場はこの日を含めてXリーグの出場は3試合だったと記憶しているが、翌年NFLへの登竜門のひとつである米室内プロフットボールリーグ(AFL)1部のアリゾナ・ラトラーズへ入団を目指し渡米。だが、就労ビザ取得などができず、プレーすることなく帰国を余儀なくされ彼の“二刀流”挑戦は終わりを告げた。
花田秀虎は大学在学中のため、角界入りするのか、NFLに挑戦するのか-今後の進路はまだ確定していないだろう。だが、MLBで二刀流を成功させた大谷翔平の例もある。夢物語では終わらない可能性は十分にある。若いアスリートの持つ「無限の力」を信じたい気持ちがある。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)