【野球】ヤクルトの若きホームラン王・村上 あのゴジラ松井を凌駕できるのか
ヤクルトの若きホームランアーティスト・村上宗隆(22)は、あのゴジラ松井秀喜(48)を凌駕(りょうが)できるのか。
セ・リーグのペナント・レースを独走するヤクルトの主砲・村上の打撃が止まらない。19日の広島戦(神宮)では、2年連続リーグ最速20号に加え21号特大弾も放ち、打率もリーグ2位の・302まで浮上。リーグトップの56打点と合わせてチーム史上初となる三冠王も視野に入ってきた。
村上は22歳の若さながらすでにNPB通算本塁打数を147。驚異的なペースでその数を積み上げている。このまま順調に年数を重ねていけば、池山隆寛(現2軍監督)が持つチーム最多本塁打数の304を更新する可能性は大。その数字をクリアすれば、松井秀喜の持つNPB通算332本もみえてくる。
高卒ルーキーのホームラン打者として通算868本の王貞治(現ソフトバンク会長)、657本の故野村克也さんは別格として村上の本塁打量産ペースは、現時点では松井秀喜を上回っている。
私は巨人担当としてブレーク前の松井を取材した時期があった。そのときは長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)の「松井4番1000日計画」の途中だった。それでも、打撃練習での飛距離や公式戦での本塁打シーンを目の当たりにして「末恐ろしいバッターになる」と思っていた。
その松井でも4年目を終わった時点では91本塁打。ところが、村上の4年目終了時点での本塁打数はなんと104本に達している。さらに39本を放った昨季は初タイトルも獲得している。
村上は現在のところ大きな故障を抱えていない。松井の場合、1998年は春季キャンプ中に左膝を痛め、その後の野球人生について回った。それでも、MLBに移籍し日米通算507本塁打というは驚異的な数字だ。
無事これ名馬とのことわざもある。今後、大きな故障がなければ年間30本塁打ペースは確実だろう。おそろしいことに10年後でも32歳で、選手として脂がのりきった時期を迎える。松井秀喜の日米通算本塁打数をしのぐことも夢ではない。
村上は20年の契約更改交渉で、高卒4年目としては田中将大、ダルビッシュ有に並んで最速タイとなる年俸1億円でサイン。昨年のオフは年俸2億2000万円プラス出来高で契約を更改した。こちらもゴジラをしのぐペースだ。
村上にMLB移籍への思いがないわけではないだろう。だが、日本で心技体を磨き、ゴジラ松井並みの成績を残してからでも遅くはない気もする。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)