【芸能】「妻、小学生になる。」音楽のパスカルズ(前)かけがえのない存在を失って

 パスカルズ。前列中央がロケット・マツ、同左端が松井亜由美、後列右から2人目が坂本弘道
 パスカルズ「妻、小学生になる。」オリジナル・サウンドトラック
2枚

 14人組インストゥルメンタルバンド「パスカルズ」が、1月期に放送されて高い評価を得た堤真一主演のTBS系連続ドラマ「妻、小学生になる。」のオリジナル・サウンドトラック盤を今春、発表した。2020年4月27日にチェロの三木黄太さんが急逝し、13人となってからは初の音源リリースとなったパスカルズから、リーダーのロケット・マツ(アコーディオン他)、松井亜由美(バイオリン)、もう一人のチェロ(とノコギリ)の坂本弘道に聞いた。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

  ◇  ◇

 昨春、リリースしたNHKドラマ「となりのマサラ」のサントラは、三木さんの生前最後の音源だった。「妻-」について、坂本は「(音楽が)全部できて、最後にクレジットをやっている時に『あれ、僕チェロ弾いてない』ってことが発覚して。ノコギリしかやってない。チェロって三木さんのことだったんだなって」と、三木さんのかけがえのなさに気付かされた仕事だったという。

 「ライブで三木さんがいなかったことはたぶん一度もない」(松井)というパスカルズは三木さん亡き後、サポートのチェリストを入れて活動している。

 「(バンドの)核だったのがたぶん三木さんだから。三木さんの代打的な形で(サポートを入れて)やっているっていうのは、三木さんが本当に重要な、いなくてはいけない存在だったことの裏返しで。三木さんがやっていることを僕が代わりにやるっていうのはちょっとないかな。三木さんは三木さん。代えるものではないっていう感じで」(坂本)

 レッド・ツェッペリンのようにメンバーの死で解散するバンドもあれば、ローリング・ストーンズのように活動を続行するバンドもある。マツは「正直もうそろそろやめた方がいいのかなと思う時もありますし、決めることはできないですけれども。僕はまだ考えていますね」と、訃報から2年が経過してなお揺れ動いている胸中を率直に明かす。松井によれば、マツは三木さんが亡くなった直後、「何も考えられないような状態だった」。

 パスカルズは1995年1月の結成から不動の編成でやってきた。マツは「あまり縛りもなく、他のバンドよりはたぶんすごく緩くて自然にやってきたから、生き物みたいな感じがある。三木さんがいないと、細胞が抜けちゃったみたいな感じは、感覚的にはすごくある」という。

 メンバーが多いとスケジュール調整が難しく、ライブに出られない者も出てくるが、生き物のようなバンドであるがゆえ「(バイオリン、リコーダーの大竹)サラさんがいなかったライブも本当に何かが抜けちゃったようで、どうしていいか分かんなかったこともあるし、松井さんがいなくて別のバイオリンの人を探した時も、何とかしようと思って自分が必要以上に力出しちゃったりとか」(マツ)ということもあった。まして、三木さんは戻ってこない。

 そんなパスカルズだが、ドラマや映画のサントラのオファーが続々と舞い込み、作品の発表は途切れることなくここまで来た。ファンにとっては、ハイペースで新作が聴ける状況が続いている。

 「幸せなことにこういう依頼が来たから、やってましたけど」(マツ)、「こういう劇伴とかを、考える間もなくガーッと(制作して)きているのが今の状態じゃないですかね」(坂本)(続く)

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