【野球】ロッテウグイス嬢 2000試合達成の谷保さんが振り返る32年前の風景
32年前と仕事の風景が大きく変わったことを谷保恵美さんは懐かしんだ。入社した90年当時、球団事務所は新宿にあるロッテ工場に隣接していた。当時の自宅のある国分寺駅から、新大久保駅へと通勤。当時の職場は男性職員ばかりだった。千葉ロッテマリーンズとなり、今では女性職員の人数が増え、大きく様変わりした。
当時は事務職を含め女性は5人ほどだったと振り返る。「女性が野球の仕事に就くことは考えられない時代だったのかもしれません」。90、91年当時事務所に訪れた金田正一監督に『元気でやっとるか!』と声をかけられ「オーラがすごくて押されてました」と懐かしんだ。男性社会で奮闘してきたが、今はほとんどの部署に女性職員がいる。「多くの女性が活躍しています。皆さん強くたくましく頼もしいですよ」と、華やぐ職場を歓迎する。
球場外ばかりでなく、グラウンド内も大きく変わったと感じることがある。当時の乱闘も刺激的だったという。アナウンス業務なりたて当時、助っ人は通称「ランボー」ことマイク・ディアスが主砲として君臨。長距離砲として親しまれたが、威圧感のある風貌に圧倒されることもあった。「乱闘の時は、早く収拾されればいいなと思いながら、審判の方にマイクを渡すのを緊張したのを覚えています」。現在は「少なくなりましたね」と笑う。社会常識の変遷とともに野球を取り巻く時代背景が、変わるのを見届けながら節目の記録を刻んだ。(デイリースポーツ・水足丈夫)