【野球】投壊状態の巨人はなぜ積極的な補強に動かないのか
7月31日のトレード期限まで残りわずかになっても、投壊状態の巨人はなぜ補強に動かないのだろうか。
4年ぶりに借金4となった巨人の投壊に歯止めがかからない。7月15日からの広島3連戦(東京ドーム)では、悪い意味で球史に名を残す、同一カード3日連続での満塁本塁打を許している。消化している試合数に違いはあるが、17日終了時点で失点数は12球団唯一の400点を超えている。1試合平均4・46点の失点は12球団ワーストなら、チーム防御率3・98も12球団中12番目の成績だ。
それでもセ・リーグは新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けながら独走状態のヤクルトをのぞいては、2位から5位までダンゴ状態。クライマックスシリーズ(CS)に出場できる3位以内確保に向けて戦っている。そのため、どの球団も戦力の足りない部分の補強に動いている。DeNAは16日、MLBで通算20勝18敗15セーブ、防御率4・60を挙げているロバート・ガゼルマン(28)の獲得を発表した。広島も秋山翔吾(34)獲りに参戦。獲得に成功している。
リーグは違うが、首位争いを演じているソフトバンクでさえ、右足骨折、全治3カ月と診断されて離脱した又吉克樹(31)の穴埋めのため、かつてヤクルト、日本ハムで活躍し、今季は日本海アセアンリーグでプレーしていた秋吉亮(33)の獲得に踏みきった
ところが、今のところ巨人には大きな発表はない。元々、原辰徳監督(63)は、戦力補強に積極的な指揮官だ。昨年は賛否を巻き起こしながらも日本ハムから中田翔(33)を獲得。2020年には、この時期ではないがシーズン中にセーブ王も獲得した澤村拓一(34)をロッテに放出している。
もちろん、水面下では動いているだろう。だが、今季は先発陣の柱だった菅野智之(32)が故障で離脱した時期もあり、以前のような投球ができていない。今のところ投手陣で頼りになるのは、先発の戸郷翔征(22)と新人ながら、開幕から守護神として活躍する大勢(23)の2人ぐらいなものだ。
打戦も12球団一の本塁打数を誇るが、主将の坂本勇人(33)を欠き、本塁打こそ出ているが、若き主砲・岡本和真(26)の打率も上がってこないのが現状。連日の大量失点を補うのは難しいだろう。
17日に広島戦での大敗後、指揮官は「選手は懸命にやっている。私とコーチ陣の指導が悪い」と反省の弁を口にした。だが、残り50試合を切った巨人には指導に割く時間はあまり残されてはいない。何か強烈なカンフル剤を打たなくては手遅れとなる。
巨人の場合、積極的な補強に踏みきるとアンチから批判に晒(さら)されることが多いのは確かだ。だが、今や手をこまねいている時期ではない。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)