【芸能】祝ストーンズ結成60周年!レジェンドに聴く(前)ストーンズの魅力とは
英国出身の世界的なロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズが、7月12日に結成60周年を迎えた。24日には神戸の名門ライブハウス、チキンジョージでストーンズのトリビュートライブ「THE ROLLING STEELS LIVE!!」が開催される。イベントのとりまとめ役であるレジェンドドラマー、向山テツ(67)のインタビュー前編では、ストーンズの魅力を解説してもらった。(デイリースポーツ・藤澤浩之)
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向山は矢沢永吉、オフコース、SMAP、福山雅治、浜崎あゆみらそうそうたるアーティストをライブやレコーディングでサポートし、Jポップ史を支えてきた名ドラマーだ。
そんなレジェンドがストーンズに出会ったのは「中学生くらい」だから、1960年代後半のこと。「音楽に目覚めて色んな洋楽を聴いているうちに、ストーンズにしびれて」のめり込んだという。ストーンズの何にしびれたのだろう。
「細かいことは気にしない的な。レコードはすごくいろいろ計算して作ってると思うけど、ライブはわりとラフな感じで、間違えようが何しようが気にしないという感じだったので、聴いているうちにだんだん好きになってきて。
ビートルズはレコードもステージも同じことをやってるけど、ストーンズはライブの場合は好きなように、今日はこの感じだからこうやろう、みたいな。曲のテンポとかも、ビートルズはほとんどレコードと近い感じでやってるけど、ストーンズはその日によってテンポも尺も構成も違うし、エンディングも、これで合ってんの?ぐらいの。そういう感じの魅力ですかね」
同じドラマーで、昨年死去したチャーリー・ワッツについては「(影響は)非常にあります。大好きで、当時はチャーリー・ワッツかリンゴ・スターかぐらいの気持ちで聴いてました」と明かし、魅力をこう解説する。
「マイペースでひょうひょうとたたいてる感じ。でも、いないとストーンズが成り立たないぐらいのまとめ役ですよね。全員の音を聴きながら、全員もチャーリーの音を聴きながらやってる感じがいい。キメるところとか、エンディングとか、そういうのをほとんど、キースと見合って『ここだね』つってやってるところが最高ですね。合わなくても合っても、どっちでも大丈夫(笑い)。いい加減にジャーンと終わればそれでおしまい、みたいな。亡くなった時は『ウソだろ?』って感じでした。悲しかった。『もうストーンズでたたかないのね』って感じでしたね」
ストーンズのベストを聞くと「いっぱいありすぎて出てこない」と前置きした上で、サイケデリックなアルバム「サタニック・マジェスティーズ」(67年)を挙げた。
「子供の頃には、最初の辺の『テル・ミー』(64年のシングル)とか『タイム・イズ・オン・マイ・サイド』(同)とか、ああいうのはすごく聴いてましたね。その後に『サタニック・マジェスティーズ』とか、『シーズ・ア・レインボー』(68年のシングル)とか、やたらポップな曲は中学生の時によく聴いてましたね。『ベガーズ・バンケット』(68年のアルバム)も好き。『レット・イット・ブリード』(69年のアルバム)は名盤ですね。すごく大好き。すごくしびれていて、ずーっと聴いていた」
向山にとって、ストーンズは「自分の身体の中から消えない、ずっと一生消えないバンドですね。亡くなったメンバーも、ずっと忘れられない」だという。「ブライアン・ジョーンズ(注:初期リーダー。69年に脱退し、同年に27歳でナゾの死を遂げる)みたいになりたかった。ファッションから髪型から全てが大好きで」。
結成60周年を迎えた今年、ストーンズは精力的にツアーを行っている。ミック・ジャガーの新型コロナウイルス感染というアクシデントもあったが大事に至らず、今夏は欧州を回っていた。向山は「ずっとやっていてほしい」と願っている。
「ストーンズって、自分たちの道を完璧に自分たちで切り開いたわけじゃない?(初期の)ブルースの頃は全く人気ないけど、自分たちなりに頑張って、色んなブルースメンに影響されながらやってきて、その人たちがストーンズを聴いてるわけですよね。そういう意味ではブルースの貢献者ですよね。それはミックとキースとブライアンがいたからだと思いますよ。ブライアンがブルースをやりたくてやりたくて(ストーンズをやって)。(しかし)生き残っていくためには色んな曲も書いたり、シングル出さなきゃいけない。ストーンズを維持したのは、まずはヒット曲。それをミックとキースが頑張ってやった」(後編に続く)