【野球】低迷巨人のAクラス死守は主砲・岡本の復活が絶対条件
低迷巨人のAクラス死守は、主砲・岡本和真(26)の復活が絶対条件だ。
巨人が4日の阪神戦(東京ドーム)で連敗を4で止めた。チームが新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて大量の離脱者を出し、公式戦が6試合延期。2日からの阪神3連戦からは、陽性判定を受けていた岡本や丸佳浩(33)、中田翔(33)ら主力選手が復帰し試合を消化できるようになったが、チーム状態は今ひとつ。4日終了時点では借金は「6」まで膨らみ、リーグ5位。それでもクライマックスシリーズ(CS)に出場できる3位とは2・5ゲーム差。リーグ戦が40試合以上も残っていることを考えれば、諦める数字ではない。
開幕当初、首位を走っていたチームが低迷するようになった原因は、菅野智之(32)や坂本勇人(33)ら中心選手の離脱が何度もあったことが大きい。また、チーム防御率が12球団最下位の4・03が示すように投壊現象に歯止めがかかってはいない。
それらと並び、原辰徳監督(64)が頭を悩ませているのは、昨年、本塁打と打点部門でタイトルを獲得した4番・岡本の長期におよぶ不振だ。4月29日の阪神戦(東京ドーム)では12球団最速の2ケタ本塁打を放ったが、それ以降は数字が伸びていない。現在、21本塁打はリーグ3位だが、首位を走るヤクルト・村上宗隆(22)とは18本差。63打点でも村上の35点もの大差をつけられている。打率・244もセ・リーグ28位に沈み、4番打者としては寂しい数字だ。
7月は18試合で打率・222、1本塁打、3打点に終わったが、復調の兆しがないわけではない。4日の試合では2回、チーム初安打を放ち大量得点のお膳立て。さらに、同じ回に巡ってきた2死満塁の場面では押し出し四球も選んだ。岡本が打点を挙げたのは7月6日のヤクルト戦(東京ドーム)で1発を放って以来で、実に16試合ぶりだ。
岡本は喜怒哀楽を表に出さない選手といわれている。だが、それは覇気がないとは違うと思う。私が長嶋巨人を担当していた時代は、3度の三冠王に輝いた落合博満氏(68)が4番に座り、そのバットでチームを勝利に導いていた。その落合氏は結果で一喜一憂することはなかった。覇気は必要だが、気合だけで打てるほどプロ野球の世界はあまくはない。
岡本は、一度スランプに陥ると脱出するのに時間がかかるタイプだろう。その上、4番打者として他球団の投手から研究され、マークは年々、厳しさを増している。それでも、5月29日の日本ハム戦(札幌ドーム)では、巨人の右打者として最年少となる25歳10カ月で通算150号を達成した実力の持ち主だ。このまま終わるはずがない。岡本の復調なくしてはAクラスどころか、47年ぶりの最下位も現実味を帯びてしまう。彼のバットがチームの浮沈を握っている。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)