【野球】阪神・才木と加治屋 千賀、佐々木朗らを超える驚異のフォーク空振り率を誇る
現在の球界では150キロ超えの直球を軸に、フォーク、スプリットなどの落ちる球を決め球に投じる右腕が多い印象を受ける。代表的な投手は“お化けフォーク”を伝家の宝刀とするソフトバンク・千賀や、令和の怪物とも称されるロッテ・佐々木朗が思い浮かぶだろうか。
共同通信デジタルが算出したフォークの空振り率で見ると、8日現在で千賀は31・8%、佐々木朗は33%と高い数字を記録している。しかし、リーグトップの防御率2・56を誇る阪神投手陣に、球界の両エースを超える空振り率をマークする投手が2人も存在した。
一人目は才木浩人投手(23)だ。今季、全投球の235球中、52球で同球種を投じている。空振り率は40・4%。ゾーンから消えるように沈んでいく落差の大きいフォークは、ストライク率が75%と精度もかなり高い。
自己最速153キロの直球を主体に投球しているが、真っすぐタイミングでスイングする打者のバットが何度も空を切る姿が球場で見られた。才木自身、7月30日のヤクルト戦(甲子園)で2勝目を挙げた際に「フォークを結構、低めに頑張って投げられた」と話し、日に日に自信を抱く1球となっている。
今季のフォークの投球数50球以上に限定したデータでは、才木の空振り率が第1位。2番目に空振り率が高いのは同じく阪神の加治屋蓮投手(30)で38・4%だ。ちなみに3番目は、広島の守護神・栗林が34・6%をマークしている。
加治屋のフォークで忘れられないシーンがある。4月13日の中日戦(バンテリン)。同点の九回に登板した右腕が、先頭・ビシエドにカウント2-2から投げた5球目。ゾーンから外角低めへ大きく落ちる明らかなボール球だったが、打者は誘われて空振り三振。続く阿部、木下にも決め球にフォークを投じ、同じようにバットが空を切る。おもしろいように次々と決まった。
打者に平然と見送られることのない、いわば見切られないフォークを投げ込んでいる才木と加治屋。塁上に走者がいる場合は、暴投のリスクにもなり得るボールだが、投手を信じて迷わずフォークのサインを出し続ける捕手・梅野の存在も大きいに違いない。
安定感抜群の投手陣には、大きな武器を操る才木と加治屋がいる。残り40試合。宝刀とするフォークで、さらにセ・リーグの強打者たちを翻弄(ほんろう)してほしい。(デイリースポーツ・関谷文哉)