伝説のロックバンド「ＳＨＯＧＵＮ」の活動で知られるギタリスト・芳野藤丸（７１）が今年、デビュー５０周年を迎えた。２０日に記念ライブを東京・渋谷区文化総合センター大和田さくらホールで行い、９月７日にはニューアルバム「５０／５０　Ｆｉｆｔｙ－Ｆｉｆｔｙ」をリリースする芳野が、半世紀に及ぶキャリアと交友を語る。第１回はプロデビューのきっかけを作り、記念アルバムにもゲスト参加したドラマーで歌手のつのだ☆ひろについて。（デイリースポーツ・藤澤浩之）

　【つのだ☆ひろ】

　芳野のプロデビューは１９７２年、つのだ☆ひろのスペース・バンドだった。当時は大学生で、セミプロのような形で活動していたが、演奏していた「ディスコに毛の生えたような」店に、つのだが「ある日突然、フラッと来て、どっかりと一番前に」陣取った。

　「終わったら『ちょっと話したい』つって声かけられて。オリジナルバンドを正式に作りたいので、メンバーにならないか？みたいなお誘いを受けたんですよ」

　これには「加藤和彦さんがサディスティック・ミカ・バンドを同じ時期に作っていて、僕も引っ張ろうとしたらしい。先を越されちゃいけないっていうんで、ひろが先回りして声をかけてきて」という後日談がある。ミカ・バンドに入っていたら「路線が全然変わってましたね」と、しみじみと語った。

　当時のつのだは、ジャックス、ギターの成毛滋さんとのフライド・エッグ、成毛、ベースの高中正義とのストロベリー・パスという伝説的なロックバンドで活動。初期ミカ・バンドのドラマーでもあった。

　芳野のスペース・バンドでの活動は「１年ぐらい」だった。

　「下宿を引き払って、ひろのマンションに転がりこんだんですよ。スペース・バンドやってる間、居候みたいな形で一緒に寝起きして、バンドの方もいろいろ勉強させてもらい、お給料ももらいみたいな感じだった。プロとはこういうもんか、みたいな」

　芳野が目指していたのは「ハードロックのような感じの音」だったが、「ひろもフライド・エッグっていうけっこうハードな音楽をやっていたので喜んで入ったら全然違う。『僕はポップスをやりたいんだ』みたいな」と苦笑しつつ振り返る。

　「入っちゃった以上はそれをやんなきゃいけないから。でも、この業界を知るとかね、コンサートも含め、中の仕組みをいろいろ勉強になったし」

　スペース・バンドを辞めたのは「ジョー山中のバンドに入ってやらないかって声がかかった」から。「そっちの方が本来やりたかったロックの音楽だったので、ひろの方は辞めてそっちに入った」。

　スペース・バンドを辞めてからは疎遠になっていたが、２０１９年にスペース・バンドの復活ライブに参加。今回の５０周年記念アルバムでは、ボーナストラックのメドレーでつのだが「メリー・ジェーン」を歌っている。

　「やっぱりスペース・バンドは外せないので、ひろにお願いにいって『ちょっと歌ってほしいんですけど』つったら『あ、いいよ！』なんて、すぐだった（笑い）」

　大学も中退してプロの活動に専念していた芳野に、大きな転機が訪れたのは、やはり１年ぐらい続いたジョー山中さんのバンド時代だった。「全然毛色の違う秀樹の方にいきなりシフトしちゃった」－。西城秀樹さんとの出会いだ。（２に続く）