【野球】右太もも裏の肉離れから復帰した田中健が加わったDeNA投手陣の次なるピースは?
右太もも裏の肉離れから復帰した田中健二朗(32)が加わったDeNA投手陣の次なるピースは?右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術(トミー・ジョン手術)を受けた平良拳太郎(27)が戻れば、さらにパワーアップする。
セ・リーグの逆転優勝を目指し、1カ月で27試合をこなすチームの過酷な挑戦が1日から始まった。かつて日本球界では「優勝するためには投手を1人2人つぶさなくでは」という風潮があったと思う。実際、優勝を勝ち取るために過度な投球を強いられた結果、肩や肘を壊して選手生命が短くなった選手を何人も取材してきた。
だが、最近ではMLBのように肩、肘は消耗品であるという風潮が浸透し、どのチームも投手の球数には神経を配っている。三浦大輔監督(48)も投手陣を酷使しないような起用法を心掛け、救援陣にもあまり連投させてはいない。それでも、ペナント・レースも終盤に突入し、連戦となれば間違いなく疲労は蓄積し、パフォーマンスは落ちてくる。
その中で、貴重な左腕セットアッパー・田中健の復帰はまさに朗報だ。田中健はシーズン前半戦だけで35試合に登板。3勝13ホールド、防御率1・95の好成績でチームの躍進を支えてきた。故障は痛かったが、復帰した1日の中日戦(横浜)では、6-0で迎えた八回に3番手として登板し1回を無失点で切り抜けた。三浦監督もこの投球に「9月のしんどい時に間に合ったのはチームにとっても大きい」と胸をなで下ろしたほどだ。
それでも、期待して獲得したロバート・ガゼルマン(28)は1軍に昇格した8月27日のヤクルト戦(横浜)で1回を投げ4安打4失点と炎上。1日に出場選手登録を抹消され、ファームで再調整しているという誤算もある。ヤクルト追撃には力のある投手は何人いても足りない-というのが三浦監督の本音だろう。
だからこそ昨年6月に右肘を手術。同年オフに育成契約となったものの今年7月に支配下選手に復帰した平良の1軍復帰が待たれるところだ。新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けて復帰登板は遅れたが、8月26日のイースタン・リーグ、ヤクルト戦(戸田)で460日ぶりのマウンドながら2回28球を投げ、無安打無失点、2奪三振と結果を残した。さらに1日のイースタン・リーグ、西武戦(平塚)では復帰後初先発。3回完全、7奪三振の圧巻の投球を披露している。
2017年、FA宣言し巨人へ移籍した山口俊(35)の人的補償としてDeNAの一員となった変則のサイドスロー投手で、球種も豊富だ。2018年からの3年間は勝ち星にはあまり恵まれなかったがローテーションの一角を占め、巨人内部でも「なぜプロテクトしなかった」との声も上がったほど。
もちろん、1軍、ましてや優勝争い状況とファームは違う。だが、地獄を味わった男の力が必ず必要になってくるはずだ。(デイリースポーツ・今野良彦)