【野球】メジャー屈指の“武闘派”も虜にする大谷翔平 「スーパークールだった」会話で笑いも
8月31日のヤンキース戦。0-2の六回1死一、二塁の場面でエンゼルスの大谷がエース右腕コールから逆転3ランを放った。日本選手初となる2年連続30号。メジャー史上初の「10勝、30本塁打」達成。本拠地の熱狂が渦巻くなか、雄叫びを上げ、ガッツポーズを繰り返す大谷の映像を見て興奮しているであろう、ある投手の顔が浮かんだ。
ブルージェイズのマノア。8月27日の試合で大谷とハイレベルの投手戦を繰り広げた、198センチ、体重125キロの巨漢投手だ。
実は、マノアとコールにはちょっとした因縁がある。大谷の会心の一撃からさかのぼること10日、8月21日のヤンキース戦に登板したマノアは本塁打王争いを独走するジャッジに死球を与えた。一触即発の空気が漂うなか、だれよりも先にベンチに飛び出し、マノアを威嚇したのがコールだった。
米報道によると、試合後のマノアはコールの態度に「なにかやりたいなら、次はアウディのマーク(ヤンキースのベンチ前の芝にペイントされた広告用の自動車メーカーのロゴ)を越えてくればいいよ」と臨戦態勢。メジャー2年目の23歳が、8つ上のベテラン投手に食ってかかる。日本のプロ野球では考えられない“武闘派”ぶりだった。
その風貌も含め、やんちゃ坊主を絵に描いたような若者が大谷に魅了されていると確信したときがあった。7月に行われたオールスターゲーム。初出場のマノアは大谷らとともにア・リーグ選抜のメンバーに名を連ねた。本番前日の人気イベント、ホームラン競争の場では大谷と会話を楽しんでいる。
大谷が後半戦初戦の登板を見据えてダービー出場を辞退したことに「マジで見たかった」と残念がったマノアがその会話の一端を明かしてくれた。「ショウヘイにはこう伝えましたよ。もし出るなら、俺、投げれますよ。(昨年8月11日の)試合でホームランを打たれてますから楽勝ですよ、って。そしたら笑ってましたね」。大谷には記念撮影もリクエスト。「すべてがヤバかった。スーパークールだったよ」とも言った。
MVP候補の大谷とジャッジが本塁打で競演した3連戦は大々的に報じられた。きっとマノアもハイライトシーンを目にしているはずだ。大谷のスマホに祝福のメッセージが送られているかもしれない。(米大リーグ担当・小林信行)