【野球】村上に史上最年少三冠王記録を破られたオレ流・落合博満氏語っていた「記録ってのは破られるためにある」
2004年から11年までの中日担当時代、当時の落合博満監督はことあるごとに言っていた。
「記録ってのは破るため、破られるためにあるんだよ」
前人未到の3度の三冠王に輝いた実績を持つ。1982年に初めてトリプルクラウンを獲得した自身の28歳という記録を、ヤクルト・村上が史上最年少となる22歳で塗り替えた。
落合氏の三冠年の数字を振り返る。
82年 打率・325、32本塁打、99打点
85年 打率・367、52本塁打、146打点
86年 打率・360、50本塁打、116打点
落合氏にとって三冠王とは、どんな位置づけだったのか。
「はじめから取ろうと思って取ったモノ。偶然じゃなくて、狙って取ったんだよ。個々の数字に関して満足してるかと言えば、してない。でも、あの王さんだって2度しか取れてないものを、オレは3度取った。そこは胸を張れるとこかな。フフフッ」
落合氏の各部門の最高成績は、打率・367、本塁打は52、打点は146。
「1部門だけ、とことん数字を追い求めていけば、もっといい数字は残せたかもしれない。打率4割ってのは、達成したいところではあったし。でも、三冠王ってのは、どれかひとつでも欠けたら取れないものだろ。本塁打と打点の数は減らないけど、打率ってのは下がる要素があるわけだから。周りは三冠王、三冠王って軽く言うけど、実際に達成するのは結構、難しいもんなんだぜ」
記録は破るため、破られるためにある。
「人は何を目標にするかっていったら、そりゃトップの数字だろ。超えるのが簡単であれば、それは目標じゃない。プロだったら、自分の名前が一番上になるようにやるだけ。それが普通」
今まで一番上にあったものが塗り替えられたとしても、先人の足跡が色あせることはない。数々の記録の話題になるたび、その名前が登場することが、プロ野球史に残した財産の大きさを示している。(デイリースポーツ・鈴木健一)