【芸能】21世紀をサバイブしたジャズ歌手の20年 Shihoに聞く(後)
昨年、メジャーデビュー20周年を迎えたジャズシンガーのShiho(47)が今年9月、ソロでの2ndアルバム「COLOR」をリリースした。今月14日には東京・コットンクラブでレコ発ライブを行うShihoが、20周年を記念した本作とライブ、そしてJポップ時代にジャズ歌手として歩んだ20年を語る、その後編。(デイリースポーツ・藤澤浩之)
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昨年、デビュー20周年を迎え、本作にも収録されたシングル「Music & Life」「Happy Song feat.HAMOJIN」を配信リリース。そして先月、本作を発表した。
「COLOR」というタイトルには「私すごい頑固者なんだな、思ってることをそうそう曲げられないんだなって。自分のカラーがすごく強い」という意味と、「素敵な人たちが参加してくれて色を添えてくれた」という意味を込めている。
後者の言葉通り、ケイコ・リー(ボーカル)、桑原あい(ピアノ)、武田真治(サックス)、J.A.M piano trio from SOIL&”PIMP”SESSION、Geila Zilkha(作詞)ら親交の深い音楽仲間に加え、現在のジャズシーンで最も勢いと人気があるアーティストの一組であるピアノトリオ「fox capture plan」(fcp)を、ボロディンの「韃靼人の踊り」をアレンジした「Beautiful Evergreen」とビートルズの「Got To Get You Into My Life」にフィーチャーした。
これまでと違う要素を求める中、スタッフの勧めでfcpとレコーディング。「お互いあまりよく知らない状態でやったのって初めてだったので、けっこうチャレンジでしたね」と振り返るが、結果は吉と出た。
「頼んで良かったな。特に『韃靼人の踊り』なんですけど、こんなアレンジにする?みたいな。本人たちも『ライブでこれ弾けない』みたいに言ってたぐらい超難しいアレンジなんだけど、とっても不思議でとってもステキで、これは自分ではできないなと思ったので、振って良かった」
また、10曲中、作編曲が4曲、共作曲が1曲、編曲が2曲、共編曲が1曲あり、オリジナル色が強い。
「FPをやめてからですね、けっこう書くようになったのは。ジャズ以外のジャンルの人って全曲オリジナルで書いてるから大変だな。私そんなに天才じゃないんで、次から次へと書けない」
14日にはコットンクラブでレコ発ライブを行う。Shihoのバンドであるピアノトリオに加え、fcpがゲストで参加する。
「ピアノトリオを丸ごとゲストで呼ぶってあんまりないことだと思うので、彼らも『ピアノトリオをゲストとかあり得なくないですか?』って面白がってくれてて。初の試みなので面白くなりそう」
このように、21年目の今年も前進を続けているShihoは、20年間を「長かったですよね。あっという間な気もしますけど。本当に色んなことがありましたし、色んな経験させてもらいましたし」と振り返った。
20年続けられた理由については「いい人に出会える運だけは持ち合わせているので、歌を始めた当時から、変な悪い経験もそんなにしていないと思いますし、いい人たちとばかり出会えましたね。みんなに引っ張ってもらって20年間なんとかやってこられた。本当にラッキー」と笑う。
とはいえ、ジャズは70代、80代の大ベテランが活躍している奥深い世界でもあり、Shihoも「20年って大失敗しなければなんとかやっていけるスパン。ここから先の20年がどうなるか、どうしていくかが課題」と自覚している。「(渡辺)貞夫さんとか日野(皓正)さんもバリバリ現役なので、そういう先輩たちの背中を追って、私もそのぐらいまで現役でいられたらいいな」と、はるか未来を見据えている。