【スポーツ】W杯カタール大会での会場内ビール不買は、今後どう広がっていくのか

 開幕前夜からビールを楽しむエクアドルサポーター=19日(撮影・金田祐二)
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 サッカーの第22回ワールドカップ(W杯)カタール大会で巻き起こっている会場内でのビール不買の余波は、今後どう広がっていくのだろうか。

 W杯カタール大会が20日、ついに開幕した。開幕カードの地元・カタールとエクアドルの対戦(アルベイトスタジアム)は、エクアドルが2-0と完勝した。今後は12月13日にルサイル・スタジアムで行われる決勝戦に向けて、32チームが熱い戦いを繰り広げることになる。

 今回、大会前にピッチ外で話題を集めたのが、開幕2日前になり会場内でのビール発売が禁止になったことだ。中東のカタールはイスラム教を厚く信仰している国である。その戒律では公共の場での飲酒は認められておらず、国内での酒類の販売が厳しく制限されている。

 信仰の問題である以上、これをとやかくいうことはできない。それでも、国際サッカー連盟(FIFA)のメインスポンサーであるバドワイザー社が、W杯でのビール独占販売権を持っている点は問題だ。首都ドーハで、大会を通じて行われるイベント「ファンフェスティバル」内では、500ミリリットル缶ビールの販売が特別に容認されている。価格は50カタール・リヤル(約1900円)だという。だが、会場内でのアルコール提供禁止で、バドワイザー社が大きな損害を被る可能性がある。

 同社はカタールW杯のためだけに、FIFAと約700万ドル(約108億円)にもおよぶ巨額な契約を結んでいる。この手の国際大会のスポンサーをする場合、単に利益だけを追求しているわけではない。全世界のサッカーファンが集まる大会会場内で自社製品を販売することは、社のイメージアップや広告戦略の観点から考えれば金額に換算できないメリットがある。とはいえ今後、金銭的な補償に関してはバドワイザー社とFIFAの間で法的な争いが起きても仕方がないだろう。

 これまで記者としてサッカーのW杯や日本のプロ野球、ラグビー、大相撲などの取材にかかわってきた。取材活動をしているのだから、会場内でアルコール類を口にすることなどありえない。だから、実際にビールを手にスポーツ観戦をした経験は、学生時代か何年かに一度、休日にチケットを買ってファンとして観戦したときだけだ。最近では7月9日、国立競技場で行われた日本-フランスのラグビーの試合で、長蛇の列に並びビールをゲットして観戦したが、周囲はビールを手にしていた人間が多かったと思う。それだけビールとスポーツ観戦は切り離せないものであると感じたのは事実だ。

 ラグビー観戦にビールは付きものといわれている。サッカーファンも、ラグビーファンほどではないにしても、ビールを手に観戦する人間が多い。宗教上の戒律があるのなら、もっと早く不買の決定ができたはずだ。大会前にこの手の話題が注目され、大会後には訴訟問題に発展しそうなのは残念でならない。(デイリースポーツ・今野良彦)

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