【野球】藤浪は英語力&コミュ力も球界屈指 優れた自己アピール力は阪神時代から

 藤浪晋太郎投手らしいスピーチだった。1分半に及ぶ英語の長文。日本時間1月18日、米国で行われたアスレチックス入団会見で「富士山と同じように、フジと呼んでください」と自己紹介した。ニックネームを「フジ」とした理由について「シンは発音しにくいかなと。みんなマウント・フジは知っているし、分かりやすいかな」と説明するあたりが、知識の豊かさを物語る。

 入団会見からさかのぼること2年、2021年阪神春季キャンプで「投手ワンデーキャプテン」を務めた時のエピソードだ。全体練習前の円陣で高橋遥人投手を指名し「日本で一番高い山は?」と質問。「富士山」という答えが返ってくると「じゃあ、2位は?」と続けた。その後「日本で2番目に高い山は北岳です」と正解を明かし「皆さん2位は知らないと思います。1位にならないと意味がない。普段の一つ一つのプレーから勝つことを意識してプレーしてもらいたいと思います」と、一番になることの意義を訴えた。

 翌22年の春季キャンプでワンデーキャプテンを務めた際は、オバマ米国元大統領の演説を引用。「人間は日々変わっていかなければいけません。ちょっと変えるだけで『CHANGE』、そういう人には『CHANCE』が訪れる」と、その場にいた関係者をうならせるスピーチをしている。

 ウイットに富んだコミュニケーション能力は球界屈指の印象を抱かせる。流ちょうな英語も現地記者から絶賛されたようだ。藤浪投手は少年時代から英会話レッスンで英語力を磨いており、中学3年の時すでに「高校野球を始めたら時間がなくなる。今のうちに」と将来を見据えて英検準2級を取得している。

 アメリカンドリームをつかむには、いかに自分の特徴をアピールするか、自己ブランディング能力も必要となる。同い年のエンゼルス・大谷翔平投手も実力のみならず、おちゃめでユーモアあふれる性格でチームメートに愛されていると聞く。藤浪投手も速球と鋭い角度の変化球、そしてシンキングベースボールで唯一無二の存在になれると期待している。(デイリースポーツ・中野裕美子)

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