【野球】新加入の熱男・松田は巨人再建の特効薬、岡本和真覚醒のカンフル剤にもなる

 新加入の熱男・松田宣浩(39)は間違いなく巨人再建の特効薬だけではなく、岡本和真(26)覚醒のカンフル剤にもなる。

 昨年オフにソフトバンクを退団し、巨人に入団した松田が宮崎の春季キャンプで目立っている。8日のシート打撃では2軍時代にしか経験のない二塁の守備に挑戦。原辰徳監督(64)からも「専門ではないと思うけど、やっぱりちゃんと無難にこなすと思いますよ」と一定の評価を得た。

 三塁手部門では歴代最多&最長の7年連続、通算8回のゴールデングラブ賞に輝いた名手。だが、公式戦では一塁手、外野手の出場経験もあり、二塁手でも出場のメドが立てばV奪回が史上テーマの指揮官にとっては貴重なピース、ジョーカーとなるだろう。

 打撃でもプロ17年間で1831安打、301本塁打、打率・265の実績を誇る松田だが、セールスポイントはプレーだけではない。ソフトバンク時代には日本一、リーグ優勝を何度も味わった貴重な体験に加え、停滞した場合にチームのムードを一変させるそのキャラクターも魅力だ。

 巨人というチームは良くも悪くも大人のチームで、気迫を押し出す選手は多くない。私が巨人担当していた時代は落合博満氏(69)や松井秀喜氏(48)がプレーしていたが、彼らは自らのバットでたたき出した結果でチームを引っ張る選手だった。チームのムードメーカーといえる存在は当時の1軍打撃コーチだった中畑清氏(69)と現役選手の大久保博元現1軍チーフ打撃コーチ(56)ぐらいだったと思う。

 39歳という年齢から、球界内では「今の松田に過度の期待をかけるのはおかしい」という声も確かにある。だが、肉体的な衰えには個人差もあり、移籍1年目のベテランが環境が変わったことで活躍するのはよくあるケースだ。雰囲気を一変させる存在とあって、チーム再建の特効薬になるのは間違いない。

 さらに、松田に期待されるのは岡本和真の尻をたたく存在になることだ。昨季30本塁打を放ち、右打者としては長嶋茂雄終身名誉監督(86)でもできなかった球団初の5年連続30本塁打こそ達成はした。だが、ライバルとされていた史上最年少の三冠王、ヤクルト村上宗隆(23)には大きく水をあけられた。さらに、定位置だった4番の座もシーズン終盤には中田翔(33)に奪われている。

 岡本和真は近年、その座を脅かされることはなかった。だが、松田の加入で危機感を覚えて覚醒する可能性は十分にある。過去53試合の出場した経験はあるが、20年以降は遠ざかっていた左翼の守備練習に挑戦したのもその兆候だろう。

 3月のWBCでは同じ三塁に村上がいる以上、岡本和真にスタメンが巡ってくるチャンスは少ない。左翼守備練習はWBCでの出場機会を求めてのものだ。例年、3月はオープン戦で実戦を積む時期。WBCでベンチを温めれば実戦不足で調整遅れになる可能性もある。その間、松田がオープン戦で結果を残せば、岡本和真もウカウカはしていられない。 熱男の存在は予想以上に大きいと思う。(デイリースポーツ・今野良彦)

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