【野球】無理は禁物 将来あるカブス・鈴木誠也には侍ジャパン辞退の英断も必要だ

 将来あるカブス・鈴木誠也(28)には、侍ジャパン辞退の英断も必要だ。

 鈴木が出場を予定していた現地25日のジャイアンツ戦を「左脇腹の張り」で欠場。WBC出場も不透明な状態になっている。MRIなどを使った検査の結果、正式な診断が下されることになるが、WBCどころか開幕戦も危ぶまれる状況になるかもしれない。

 アスリートは故障と無縁ではない。だが、今回の故障は急激な体重増加も要因のひとつかもしれない。鈴木はオフのトレーニングの結果、体重は約10キロ増えて106キロにもなった。本人は「そんなに大きくするつもりはなかったですけど、トレーニングしたら勝手に増えちゃいました」と話すが、簡単に約10キロも体重が増加するはずがない。これまで経験したことのない、かなり追い込んだ筋トレの結果だろう。

 筋トレにも「過ぎたるは及ばざるがごとし」という格言が当てはまる。過度にトレーニングに取り組み過ぎることで、オーバーワーク状態に陥る人間は多い。オーバーワークで筋トレ効果が低下するだけならまだいいが、横紋筋融解症と呼ばれる症状が現れることもある。

 横紋筋融解症は筋肉細胞が破壊されて、血中に流れ出すことで引き起こされる。外傷や感染症などが原因となるが、強度の高い運動によって極端に筋肉を酷使した後にも発症するという。マラソンなどの長時間にわたる運動が原因になるケースが有名だったが、最近では比較的短時間のうちに強度の高いトレーニングを行う人にも、この横紋筋融解症が起こる可能性が指摘されている。

 一般の人間はあまり横紋筋融解症になることない。強度の高い運動をするだけの体力を持ち合わせていないからだ。逆に自分を極限まで追い込もうとするあまりにリミッターを外してしまう一流アスリートは要注意だ。

 鈴木の場合、専門家の指導の下、筋トレを行っているのは間違いない、だが、どれだけ追い込んだら負荷のかけ過ぎなのか-などは個人の能力や経験、体調、さらには天候などの外的環境も関連してくる。過度なトレーニングを継続すれば今後、横紋筋融解症を起こす可能性はゼロではない。今季、メジャー6年目となる大谷翔平(28)とは違い、メジャーリーガーとして初めてのオフを過ごした鈴木が休養や適切なトレーニングの強度を見極めるのは簡単ではなかっただろう。

 鈴木本人はWBC出場にこだわってきた。だが、昨季、左手薬指の突き指による離脱もあり111試合の出場のとどまり、打率・262、14本塁打、46打点に終わり、2年目の今季はさらなる好成績が期待されている。万全のコンディションでシーズンに臨むことが最優先事項だ。鈴木の離脱は3大会ぶりのWBC優勝を狙う侍ジャパンには大きな痛手だ。だが、今後もWBC出場のチャンスは必ずある。無理は禁物。本人の英断が待たれるところだ。(デイリースポーツ・今野良彦)

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