【野球】鈴木誠也の穴は誰が埋めるのか 栗山ジャパンに暗雲 右翼の代役適任者は?

 3月開催のWBCで3大会ぶりの世界一奪還を狙う栗山ジャパンが27日、17日から宮崎県で行っていた強化合宿を打ち上げた。栗山英樹監督は「まだ寒い日がある中で、ケガだけ怖かったんですけど、ある意味順調に選手達が前に進んだ。さすが一流の選手達だなと」と合宿を総括したが、風雲急を告げる情報が海の向こうからもたらされた。左脇腹の張りを訴え、出場予定だった25日(日本時間26日)のオープン戦を欠場した米大リーグ・カブスの鈴木誠也だ。

 鈴木は同日の試合前のフリー打撃で左脇腹に張りを訴えて練習を切り上げた。一夜明けたこの日、球団のキャンプ施設に姿を見せたが、チーム練習には参加しなかった。カブスのロス監督は「今は(MRI=磁気共鳴画像検査の結果を)待っている状態なので、WBCに関するコメントはしたくない。今後については、医師やトレーナーと話し合って決めたい」と話すにとどめた。

 栗山監督は26日、鈴木について「全員元気な状態で集まってくれると信じています」と同じ言葉を2度繰り返したが、この日は「いろんなことで(情報が)入ってきているので、分かり次第どういう状況なのか、もう一回最終的に確認して。本当に心配しているし、誠也にとって本当に大事がないことだけを。この戦いの前に、誠也にとって本当に大きなことになってなければいいなということだけなので。分かったら、しっかりお伝えします」と沈痛な面持ちで語った。

 鈴木とは同学年のエンゼルス・大谷翔平投手は「大事に至らないことをまず祈りたいです。無理せずに、シーズンも長いので、本人決断を尊重するべきじゃないかなと思います」と気遣いを見せ、2006年の第1回WBCで優勝に貢献した上原浩治氏も26日に自身のツイッターで「う~ん、心配ですね 侍JAPAN…鈴木誠也選手 ちゃんと検査をしてからの発表になるのかな… 球団からNGが出そうな気もするし、WBCにも出てほしいけど シーズンはこれからだし、無理だけはしてほしくないよね」とつぶやいている。

 鈴木が張りを訴えたという左脇腹という箇所は、これまでにも多くの選手が苦しめられてきた。1985年に主戦投手として12勝を挙げ、阪神のリーグ優勝に貢献したプロ野球解説者の中田良弘氏は「張りや痛みの程度によるとは思うけど、投げることに関しては、腕を振って、自分の体の方に巻き込む時にピリッと痛みが走ることが多い」と解説しつつ、「俺もチャンスをつかまなければならなかった若い時、左脇腹を痛めながら投げ続けたんだけど、自分の100%の力を出せなかったし、結局無理したことで、完治までに相当長い時間がかかってしまった。だから、彼も治すことを優先してほしいし、無理するべきではないと思うね」と助言した。

 打撃に関しても「鈴木はフルスイングが持ち味。でも、張りや痛みを抱えながらプレーすることで、知らないうちに患部をかばったフォームになって調子を崩したり、今まで時間をかけて作り上げたフォームに変なクセがついてしまう可能性もある」とし、「一番心配なのは、自分では大丈夫とは思っていても、100%の力を出せないこと。他人から見ると、本来の力が出てないなと見られるケースが多いし、結果が出なかった時、無理をして出てくれてるんだからと、栗山監督が交代時期を迷う可能性が出てくるのもチームとしてはマイナス材料になりかねない」と指摘した。

 第1回、第2回大会ではイチロー、第3回大会では糸井、第4回大会では鈴木が右翼を守った。一塁走者の三塁進塁を防ぐために肩の強さが求められるポジション。中田氏は「肩、パンチ力、勝負強さを考えると、鈴木以上の適任者はいないと思うけど無理はさせられない。となると、鈴木と比較しても遜色のない肩の強さがあるヌートバーを中堅から右翼に回して、中堅は近本にするのがいいと思うな。彼は打てるし、足もある。守備範囲も広いしね。なぜ30人のメンバーに入らなかったのかと不思議に思ったぐらいだし」と、新生岡田阪神ではトップバッターを打つことが想定されている俊足巧打の左打者を候補に挙げた。

 侍ジャパンが初陣を迎える3月9日の中国戦まで2週間を切った。世界一奪還は野球ファンの共通の願いだが、頂点を極める道中で避けたいのは不測のアクシデントなどによるケガ人の発生。栗山監督個人の判断だけで鈴木の出場可否は決められないが、辞退となった場合を想定した指揮官としてのマネジメント力も試される。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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