【競馬】障害ジョッキーの過酷さとタフネスぶり 名手・石神も「感動」の熊沢復帰V
つくづくジョッキーとは過酷な職業だと思わされた。ケガのため休業していた石神深一騎手(美浦・フリー)が、今週の阪神スプリングJで戦線復帰する。2月4日の小倉5Rで落馬して、第7頸椎(けいつい)と第1胸椎を骨折。第一報で負傷箇所を聞いた時は長期離脱も危惧したが、わずか1カ月でのスピード復帰となった。
3月3日から調教騎乗を再開。「大丈夫ですね。リハビリの際の筋トレで筋肉痛がありますけど。乗った方が気になりません」と超人的な回復力をアピールする。7日朝は阪神スプリングJで騎乗するニシノデイジー(牡7歳、美浦・高木)との初コンタクトで「まわりに牝馬がいると『ブヒブヒ』と鳴くようなところはありましたが、キャンターにいけばイメージよりも乗りやすかったです」と好感触をつかんでいた。
それにしてもジョッキーのタフネスぶりには毎回驚かされる。障害界で目下売り出し中の伴啓太騎手(美浦・フリー)も、昨年9月19日の中山1Rで落馬した際に右鎖骨粉砕骨折と診断されながら、同年11月5日にはレースに復帰していた。某障害の名ジョッキーは「鎖骨骨折は骨折のうちに入らない」という名言?を残しているそうだが…恐るべき。自分語りで恐縮だが、私が牧場に勤務していた頃、足の小指を骨折して1カ月以上休職したこともある。そんな自分が恥ずかしい(本当に痛かったんです)。
石神騎手とは、熊沢重文騎手(栗東・フリー)の復活Vに話題が及んだ。鉄人の第2頸椎骨折から約1年4カ月ぶりの勝利に「感動しました。55歳という年齢的なことを考えてもすごいこと。復帰2戦目で勝つなんて…。もし僕なら、あそこまで(現役にこだわって)できるか分かりません」と手放しで称賛する。その熊沢騎手とは阪神スプリングJ(ケンホファヴァルトに騎乗予定)で対決する。「一緒に乗るからには負けたくないです。まだまだリーディングも狙いたい」と燃えている。
障害界の絶対王者オジュウチョウサンの主戦を務めた名手と、劇的な復活Vを遂げた鉄人の対決が行われる11日の阪神8Rは、見逃せない一戦となりそうだ。(デイリースポーツ・刀根善郎)