【野球】侍ジャパン ベンチに掲げた誠也ユニ 左脇腹付近には絆創膏 山田「思い背負って世界一」
野球日本代表「侍ジャパン」のベンチには背番号51、鈴木誠也のユニホームが掲げられている。合流直前に左脇腹を痛めて出場を辞退。「思いを背負って戦う」というナインの意思表示で、故障箇所付近に絆創膏が貼られるなど粋な演出だ。
「ヌートバーをよろしく」
離脱が決まった直後に鈴木は、大谷翔平投手に思いを託した。1月からヌートバーと連絡を取り合い、チームに溶け込めるようサポートしてきたのが鈴木。託された大谷は積極的にコミュニケーションを図り、ヌートバーが見せたペッパーミルパフォーマンスをナインに浸透させた。
9日の中国戦。イニング間、ベンチに戻った選手が鈴木のユニホームに触れ、パワーを注入するシーンが多く見られた。“代役”として右翼を守る近藤健介外野手は言う。「ワンチームです。誠也の気持ちもというところもありますし、本人が一番残念だと思う.その気持ちもしっかり持って戦いたい」。負けられない戦いに、また一つ戦う理由がある。
近藤だけではない。打撃不振でスタメン落ちし、八回から二塁に入ったのは山田哲人内野手。裏の攻撃、1死満塁で打席に立ち、待望の“初安打”となる左前適時打を放った。「こんなに喜んでくれるのかってくらい、みんなが喜んでくれたことがうれしかった」と興奮気味に感謝した上で、事前に鈴木からLINEが届いたことを明かした。
「やっぱり『一緒に戦いたかったです』と伝えられました。彼の思いもひとつ背負って世界一になりたい気持ちになりました」
東京五輪でも一緒に戦い、金メダルを獲得した戦友だ。絆創膏付きのユニホームが高めるチームワーク。侍ジャパンは30人ではなく、31人で世界一に向けて戦っている。(デイリースポーツ・田中政行)