【野球】侍・栗山監督 大谷翔平と見せた「二刀流」究極の完成版 最後の監督でのWBC制覇

 大谷翔平が帽子を投げ飛ばした。そして、吠えた。WBC決勝の舞台で指名打者としてのスタメン出場から投手として、九回に登板し、世界一への最後を締めた。イニング終盤、ブルペンとベンチを行ったり来たりし、しんどいはずと思ったものだが、それでも大谷ならできてしまう。九回は160キロを出し、トラウトをこん身のスライダーで空振り三振。漫画の世界でも出来過ぎたシナリオ。大谷をずっと見てきた栗山監督だから躊躇なく、送り出せたはずだと思った。

 優勝会見では、栗山監督は投げることについて、行けとか一切言ったことはなく、本人から志願してきたという。その行動を心の中で、待っていたと思う。アメリカという地で、二刀流として大谷しかできないことを野球の本場で見せる。育ての親として、こみ上げるものがあったはずだ。

 日本ハム時代から栗山監督が二刀流をやれとかは一切、言ったことはない。大谷自身が二刀流をやると決めたからこそ、後押しをして、世界を凌駕するほどの選手になってほしいと日本ハムの監督の時から願っていて、そういう選手になったことが、ウルっときたのではないか。

 日本ハムで日本一になった年の2016年。シーズン前、栗山監督が大谷に、シーズン前の約束を手紙に書かせたことがあった。その時、大谷は投打で優勝に貢献すると書き、その年、投打でチームを勝たせる活躍をした。「自分で自分の約束を破るほど、ばからしいことはない」と監督。大谷翔平ならやれる。二刀流をやると決めた以上、極めてほしいとの思いを再確認して、したためさせた手紙。両方でそれだけの選手になれと、背中を押し続け、そして監督として最後のWBCで大谷が二刀流として、究極の完成版を見せた。

 「野球漫画のような漫画を描くのが大谷翔平」と、日本ハム時代に強く願っていた栗山監督。控えめ気味に喜んだ16年の胴上げとは全く違う喜び方で、堂々と、雄たけびを上げた大谷翔平とは強く抱き合った。日本ハム時代にほとんど褒めることがなかった栗山監督は心の中で「すごい選手になったな」と、褒めまくってるはずだ。(デイリースポーツ・水足丈夫)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス