【野球】侍・栗山監督は将来、球界発展のため初のプレーヤー出身コミッショナーに
WBCで侍ジャパンを3大会ぶりの世界一に導いた栗山英樹監督(61)には将来、さらなる球界発展のため初のプレーヤー出身の日本プロフェッショナル野球組織(NPB)コミッショナーになってほしい。
激闘を終えて侍ジャパンの国内組が23日帰国した。指揮を執った栗山監督は決勝戦後、「個人的には最後のユニホームになると思っている」と語ったが、あくまでも一区切りをつけただけだ。「野球界に恩返ししたい」との希望もあり、再び監督としてユニホームを着る日もくるかもしれない。
2016年に日本ハム監督の監督としてチームを日本一に導いたが、21年限りで退任。その後は侍ジャパンの監督となり、世界の頂点だけを目指してきた。それだけに、老婆心ながら燃え尽き症候群も心配してしまうが、将来を見据えて行動してきた。現役時代に食事に行ったころ感じた、野球への情熱も健在だ。栗山監督なら新たの目標に向かってまい進するだろう。
現役引退後は、スポーツキャスターや野球解説者としてテレビやラジオで活躍。国立・東京学芸大卒業の経歴を生かして大学講師や教授として教壇に立ってきた。それらの道の戻る可能性はある。だが近い将来、今回日本中を熱狂の渦に巻き込んだ野球界のさらなる発展に尽力する道を模索してほしい。
例えばNPBの最高責任者で最高の権限を有し、一般社団法人日本野球機構における会長でもあるコミッショナー就任だ。野球協約によればコミッショナーは、日本プロフェッショナル野球組織を代表し、これを管理統制する。コミッショナーが下す指令、裁定、裁決ならびに制裁は、最終決定であって、この組織に属するすべての団体と個人を拘束するなど絶大な権力を有し、その裁定は絶対的といえる。
それだけに、歴代コミッショナーは検事総長だった故福井盛太氏を始め大学教授や官僚、財界の有力などがその役割を担ってきた。現在、第15代コミッショナーである榊原定征氏(80)も、関西電力会長や日本経済団体連合会名誉会長を務める財界人で有識者だ。NPBにとって経済界に太いパイプを持つ榊原コミッショナーの存在は大きい。
だが、この役職を巡って長年、プロ野球界にはひとつの悲願もある。それは「プレーヤー出身のコミッショナーの誕生」だ。サッカー界では現在の田嶋幸三会長(65)や川淵三郎元会長(86)のように、かつては日の丸を背負ってきたプレーヤー出身者も多いが、プロ野球の世界では皆無である。そろそろ現場もよく知る人間が組織のトップに立ってもいい時期がきているのではないか。
世界で唯一無二の存在である大谷翔平(28)とも太いパイプを持つ栗山監督が、その第1号として適任のような気がする。(デイリースポーツ・今野良彦)