【野球】日本ハム 打率・125でも新庄監督「全然、大丈夫」 五十幡を固定し続ける理由とは

 セーフティースクイズを決めた五十幡(14日)
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 3番・清宮がしぶとくつなぎ、4番・野村が一振りで試合を決めた。先発の加藤貴は完投勝利。開幕カード以来の本拠地戦となった、14日の西武3連戦初戦。詰めかけた大勢のファンの前で、理想的な試合展開で連敗を止めた。エースと若き主砲2人の共演。そんな試合後、新庄監督が熱っぽく語ったのは、意外なシーンだった。

 「きょうはオレ何もしていないんですよ。水野君のエンドランと、五十幡君のスクイズ以外は、普通にベンチでみていただけです」

 切り出したのは四回の攻撃。3点リードで迎えたこの回、指揮官の采配が次々と的中する。先頭の上川畑が死球で出塁。この日昇格即、スタメン出場した水野がエンドランを決め、無死一、三塁を作る。伏見は二飛に倒れたが、五十幡の打席。1ボールから2球目、新庄監督はスクイズのサインを出した。きっちりと一塁線に転がし、三走の上川畑が4点目のホームを踏んだ。

 開幕から11試合。捕手、二塁、右翼、以外はほぼメンバーを固定する中で、中堅・五十幡も不動の1人だ。7日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で代走出場以外は、10試合にスタメン出場。打撃目では、ここまで32打数4安打、打率・125と苦しんでいる。指揮官はこの回の打席、「打たせてもよかった」と振り返りながら、「打点をつけさせてあげたかった」と説明。スクイズで今季初打点を記録したが、こんな所にも指揮官の細かな思いが伝わる。

 「センターラインはものごく大事ですよね。打たなくても、しっかりと当たり前のプレーを、当たり前にこなす選手は本当に大事」

 ベンチで感じる数字以上の信頼感。打率・125にも「全然、大丈夫です」と意に介さず、新庄監督が力説した。「僕はプロ野球選手、いろんな選手を見てきましたけど。かなりトップレベルの選手であることは間違いないです」。勝利と育成、両面で五十幡の力が必要だと感じるからこそ、起用し続け、必死に成長をしている。

 「1番バッターとして守備、足、肩…。この前のWBCじゃないですけど、選ばれる選手にしていくのもオレの役目かなというのはものすごくある」

 前カードのソフトバンク戦中には、転がそう、流そうとする姿に異を唱え、やめさせた。「引っ張ってもいいからと。練習からとにかく球を引きつけて。練習でサード方向に飛ぶ時点で試合だとファウル。引っ張りなさいとね」。求めるのは大きなスケールで、走攻守で輝く五十幡の姿。それには「経験だけ、経験のみ」と続ける。

 主軸の清宮、野村、万波を筆頭に、若い才能が集まったチーム。ここに五十幡の覚醒が加われば、プラス1以上の化学反応が起こる予感がある。なにより新庄監督が確信を持って話す。「いまのところケガがない。ケガしてしまったらチャンスはなくなるけど、何かバッティングのコツをつかめたら盗塁王は必ず取れる。きっかけをつかめたら全てが急にポンッと伸びる選手だと思う。期待しています」。指揮官の眼力やいかに。こんな所にも日本ハムの魅力、応援の楽しみ方があるのかもしれない。(デイリースポーツ・田中政行)

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