【野球】けがに主将交代も経験 怪物スラッガー・佐々木麟太郎は最後の夏に花を咲かせられるか

 花巻東の怪物スラッガー・佐々木麟太郎内野手(3年)が1日、盛岡市内にオープンした「きたぎんボールパーク」のこけら落としとして早実との記念試合に出場した。同日時点で高校通算117本塁打をマークしている大砲。夏の大会も行われるであろう同球場で一番最初にプレーし、大一番へイメージを膨らませた。

 高校に入学し、本塁打数に注目が集まっているが、ここまでの2年間はもどかしい気持ちで過ごしてきただろう。常にけがと付き合ってきた。1年冬には中学時代から発症していた胸郭出口症候群を治すべく、両肩を手術。万全ではない中で春の選抜大会に出場した。

 2年夏は岩手大会準決勝で敗退。新チームからは主将を務めたが、昨秋の東北大会後からチームメートと交代した。父でもある佐々木洋監督は「(麟太郎)本人もけがが多かったりして通院があったりということが多かったのとやりにくかった」と説明。練習中にスイングした際に左足かかとをひねり、負傷した影響も大きかった。ただ、佐々木自身は「監督自身のやりづらさもあったと思いますし、周りからもチームメートからも自分の結果を出すことに集中してほしいという思いも伝わってきた。やることは変わらないと思っている」と胸中を吐露。だが、その言葉は、主砲として、チームをけん引するという思いがより強くなっていたように感じた。

 佐々木が主将を外れてから記者が初めて花巻東を取材したのが早実との記念試合。けがの影響で「3番・DH」で出場していたが、以前以上に守備も攻撃もベンチにいる際には大声でチームメートを鼓舞しているような印象を受けた。打撃では左足かかとを痛めていたにもかかわらず、どんな打球にも一塁まで全力疾走。歯がゆさを感じながらも成長し続けている証しとして、以前とは違う雰囲気を感じさせたのかも知れない。

 常に自分の結果に注目が集まる環境の中でも、必ず口にしている「チームのために」という言葉。「チームが勝つために、声でもプレーでも引っ張っていければ一番良いと思っている。周りが助けてくれている分、恩返しして結果につなげていきたい」。苦難を経験してきた怪物が、最後の夏に大暴れする姿が浮かんだ。(デイリースポーツ・森本夏未)

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