【野球】活躍続く大谷、不振にあえぐ村上ら WBCから1カ月半、なぜ侍戦士の明暗が分かれたのか
エンゼルス・大谷翔平投手(28)が投打にわたる活躍を見せ、3大会ぶりの世界一奪還に日本中が沸いたWBCから約1カ月半。日本代表「侍ジャパン」を離れ、所属チームに戻った各選手の成績には明暗が見受けられる。その原因に迫ってみた。
【好調組】大谷が曲がり幅43センチのスイーパーでトラウトを空振り三振に仕留め、ローンデポ・パークのマウンドに歓喜の輪が広がった光景は今も記憶に新しい。
あれから約1カ月半。所属チームに戻った侍戦士だが、開幕からの成績を見ていると、明暗がくっきり分かれる形となっている。世界一奪還という唯一無二の目標に向かって心と体をピークに仕上げたWBCは、ここまでのシーズンにどう作用したのだろう。
開幕投手を務めたエンゼルス・大谷はここまで6試合に先発して4勝0敗、防御率1・85と圧倒的な数字を残し、打者としても打率・294、7本塁打、18打点とパワーあふれる打球で本場のファンを魅了している。
大谷は「シーズンに入る前にああいう短期決戦の雰囲気を味わえたのは特別なことではある。WBCの舞台で気持ちも出力も出る場面をこなせたのはプラスじゃないかと思います」と、開幕前にワールドシリーズ並みの緊張感、重圧を経験できたことが、好調の要因になっていると語った。
ロッテ・佐々木朗もここまで無傷の3連勝で防御率1・00。侍ジャパンで投手コーチを務めた吉井監督は「先輩たちの勝負に対する執着心を見て、朗希も絶対に負けないぞっていうのがにじみ出てるし、大きな影響を受けているんじゃないかな」とWBCを経験したことが大きな自信と財産になり、ここまでの成績に結びついていると分析した。
巨人では岡本和が3割超えの打率を残し、戸郷も3勝1敗と低迷するチームの中にあって軸として結果を残しており、岡本和は「WBCが関係?それは分からないですけど、そんな全然っすよ。まだまだこれから」と話した。
レッドソックス・吉田も一時は右太ももの張りで調子を落としたが、日本時間4月24日のブルワーズ戦で満塁弾を含む日本選手初の1イニング2本塁打を放つなど、日本球界で6年連続打率3割をマークした好打者ぶりを海の向こうでも発揮している。
【不振組】1次ラウンドから不振にあえぎながら、WBC準決勝で逆転サヨナラ打、米国との決勝戦でも同点本塁打を放ったヤクルト・村上だが、開幕から打率1割台の低空飛行が続いている。同僚の山田は下半身のコンディション不良で戦列を離れ、4月28日に1軍復帰したが、決勝でマスクをかぶった中村も打率1割台と不振を極めている。
日本ハム・伊藤はWBCの先発組では唯一の未勝利となる0勝3敗、防御率5・82と絶不調。阪神・湯浅は右前腕の強い張り、オリックス・宇田川も上半身のコンディション不良、西武・山川も右ふくらはぎの張りで2軍調整を続けており、4月28日にはソフトバンク・牧原大が「左大腿二頭筋損傷」で復帰まで1カ月の見込みと発表された。WBCとの因果関係は不明だが、故障で離脱する選手の多さが目立っている。(デイリースポーツ取材班)