【野球】阪神の堅守を支える大山の一塁守備のこだわりとは 中野「信頼している」木浪「本当にうまい。安心感がある」平田ヘッドはエラー数減少の一因に挙げる
岡田阪神の特長と言えば「守備」。重要な場面でのミスはほとんど見られず、全体のエラー数も減少。取れるゲッツーは確実に完成させる中野と木浪の二遊間に注目が集まっている。彼らに加えて、一塁・大山の貢献度はかなり大きいと感じている。
特にショートバウンドの送球を裁くハンドリングには、目を見張るものがある。これは大山が最も大切にしているプレーだ。今春キャンプでのデイリースポーツ評論家・狩野恵輔氏との対談で、守備へのこだわりを明かしている。
「ショートバウンドとか送球の捕球は、一番こだわりたいところなので。ショートバウンドを捕る捕らないで1年間の失策数って本当に変わりますし。カバーしてもらえるっていう安心感があるだけで、内野手の送球って変わってくると思いますし。流れも良くなると思うので。そこは全部捕る。そこだけはこだわりたいですね」
開幕後は見事に体現。チームメートの信頼も厚い。遊撃・木浪は「投げやすさが全然違いますね。本当に捕球がうまいです。投げれば捕ってくれるという安心感があるんで、思い切って投げられています」とミスをカバーしてくれる技術を絶賛する。
中野も同じ思いを抱く。印象的なプレーがある。5月9日・ヤクルト戦(甲子園)の三回1死一塁。ゴロを捕球した木浪が二塁へトスした。中野はわずかに本塁方向へそれたトスを捕球し、一塁に送球。ただ、体勢が悪かったため、これが中途半端な位置でワンバウンドになってしまう。
だが、大山が送球をすくい上げるように捕球し、併殺が完成。中野は「投げた瞬間にワンバウンドになるな、と。あっと思ったんですけど、うまく捕ってもらって助かりました」と振り返る。
この場面以外にも大山が一塁にいるからこそ、思い切ったプレーができているという。
「ハンドリングがうまいですし、投げれば捕ってくれると思って信頼しています。僕はもともと送球をひっかけるところがあるので、送球は下へという意識を持っています。下ならワンバウンドしても、(大山に捕球してもらえる)チャンスがありますしね。一、二塁間のゴロも捕ってくれるし、連係もうまくいっているので助かっている部分は多いですね」
現役時代に堅実な遊撃守備でチームを支えた平田ヘッドコーチも、大山の一塁守備での貢献度を評価する。
「本当にチームにとって大きいよ。ショートバウンドを捕球するミット裁きね。内野手って『送球を確実に捕ってくれる』という安心感があると、全然違うんだよ。(チームの)エラー数が減っている要因だろうし、数で言えば4、5個は違うんじゃないか」
さらに続けた。「一、二塁間の打球処理や、カットでの送球もね。シーツ(元阪神など)や新井(現広島監督)もうまかったけど、大山はサードや、アマ時代にショートもやっているしね。やっぱり動きがいいよ」。内野陣で大きな存在であることを強調した。
今季から大山を一塁に固定したのは、岡田監督。第1次政権の2005年には、広島から加入したシーツを遊撃から一塁へ回している。評論家時代には当時のことを、こう振り返っている。
「シーツはショートをしてたし、うまかったで。送球の捕球や一、二塁間の打球で何回も救ってくれたなあ。バッテリー以外で、試合で一番ボールを触るのは一塁やろ?一塁の守備は軽視したらあかんし、そこのミスがチームに与える影響を考えんとあかんわ」
4番としてだけではなく、堅実な守備でもチームをけん引している大山。指揮官が絶大な信頼を寄せていることは、言うまでもないだろう。(デイリースポーツ・西岡 誠)