【野球】DeNAのサイ・ヤング賞男・バウアーは連敗ストッパーに名乗りを上げるか 立ちはだかる“三つの壁”とは

 サイ・ヤング(CY)賞男、トレーバー・バウアー(32)は“三つの壁”を乗り越えて、DeNAの連敗ストッパーに名乗りを上げることができるのか。

 開幕から好調だったDeNAがここにきて苦しんでいる。11日から行われた阪神との首位攻防3連戦(甲子園)では投手陣が崩壊し、3タテを食らい今季初の5連敗。首位・阪神に1ゲーム差の2位に転落した。まだ、33試合を消化したばかり。勝負はこれからだが、14日の21被安打15失点の大敗後、三浦大輔監督(49)も「もう一回アナリスト、コーチ全員で対策を練り直さないと。やられすぎです」と、早急な対応を迫られている。

 その中で、連敗ストッパーとして16日の広島戦(横浜)のマウンドに上がる予定なのが、バウアーだ。今季から横浜の一員になったバウアーは5月3日の広島とのデビュー戦(横浜)で7回1失点と好投し、来日初勝利を挙げた。だが、2戦目となった9日の巨人戦(新潟)では七回途中7失点で、敗戦投手となっており、まだ未知数の存在だ。

 過去にもMLBでCY賞に輝いた投手が日本でプレーした例はある。1962年に中日でプレーした故ドン・ニューカムは56年の同賞を受賞したがその後、野手に転向。中日では外野手としてプレーしている。バウアーは初の現役CY賞投手の来日だが、本来の力を発揮するためにはさまざまな困難が待ち受けている。

 そのひとつが使用球の問題だ。WBCに出場し、優勝をもぎ取った侍ジャパンの投手陣は、いつものNPB球とMLBでも使用しているWBC球の違いにナーバスになり、早くから準備をしていた。それでも、選手によっては対応に苦労していた。一般にWBC球の方がNPB球よりも大きく、滑りやすい。メジャーで10年プレーしてきたバウアーがDeNAと1年契約を結んだのは3月14日。その後調整し、イースタン・リーグでの登板を経て1軍登板にこぎつけたが、ボールの微妙な違いに適応するのはまだ時間がかかるだろう。

 また、日米のマウンドの違いも忘れてはいけない。メジャーでは1試合使ってもマウンドが崩れないように、固まりやすい粘土質の土を使っているため、硬い。日本のマウンドはそれに比べて柔らかく、よく掘れると言われている。WBCの準決勝で先発した佐々木朗希(21)もローンデポ・パークでの練習後、「マウンドは日本より硬いと思いました」と、その感触を口にしている。投手は微妙な感覚を大事にする。硬いマウンドに慣れているバウアーが、柔らかいマウンドの感触を自分のものにするのは簡単ではないはずだ。

 しかも、対戦する打者はすべてが初対戦。チームのアナリストから細かいデータはレクチャーされるだろうが、実際に対峙(たいじ)してみなくては分からない部分も多いだろう。

 それらの壁をぶち破りバウアーがチームに勝利をもたらすか。広島戦で彼の真価が問われる。(デイリースポーツ・今野良彦)

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