【野球】過熱するエ軍・大谷翔平のFA“狂騒曲”を日本球界に持ち込んではならない

 過熱するエンゼルス・大谷翔平(28)のフリーエージェント(FA)“狂騒曲”を日本球界に持ち込むべきではない。

 今季も大谷は順調に成績を積み上げている。現地24日終了時点で打撃部門は打率・280、12本塁打、33打点。投手としては5勝1敗、防御率3・05に加え、アメリカン・リーグ2位の80三振を奪っている。この数字を単純に162試合のシーズンに換算すると38本塁打、105打点&16勝256奪三振というハイレベルの数字に到達する。もはや投打二刀流というよりは、各球団のエース級投手と主力打者が2人存在していると考えていいだろう。

 大谷は今オフにFAになる。それだけに米球界では彼がどんな条件で、どの球団と契約を結ぶのか-は大きな話題となっている。一部では12年総額約6億ドル(810億円)にもおよぶとの報道もあるほどだ。

 MLBのFAはレギュラーシーズン中にアクティブ・ロースター(各種出場停止リスト登録中期間も含む)に登録されていた日数によって決まる。通算6年に達した選手はFA権を取得し、以降は保留制度に縛られない。また、日本プロ野球機構(NPB)とは違って権利取得条件を満たした選手は自動的に権利行使となる。一度でも権利を取得すれば所属球団との契約満了のたびに自動的にFAとなるため、再取得の必要がない。

 実際、大谷のような選手を抱えている球団は大変だ。必要な戦力と判断すれば再契約に向けて最大限の努力は惜しまないだろうが、それが困難なケースもある。また、ポストシーズン争いから脱落した場合にはチーム再建にむけて当該選手を他球団へトレード。大抵は将来性豊かな若手選手を複数人獲得する道を選択する例も多い。

 獲得を望むチームは高額年俸の複数年契約やそれ以外の付帯条件も用意し交渉に当たる。選手にとっては好待遇を引き出すメリットはあるが、チーム側にはデメリットもある。天文学的の金額を用意することで経営を圧迫しかねない。さらに、獲得した選手が働けばいいが、長期契約の上にあぐらをかき、不良債権化するケースも多いからだ。

 職業選択の自由もあり、日本人選手が海を渡ることは悪いことではない。むしろ高いレベルへの挑戦には頭が下がる。だが、マネーゲームの当事者となれば、それだけ必要以上に批判の目にさらされることを忘れてはならない。

 NPBでもMLBのようなFAでのマネーゲームが深刻化していおり、改革は必要だろう。日本のFA制度は1993年オフに導入され、2003年、08年に改正された以降は大きな変更はない。だが、昨年暮れに選手会側がNPBに要望。FA取得年数の国内外一律6年とFA移籍にともなう人的保証の廃止を求めるなどをテーマにした、保留制度改革に関する特別委員会が実施された。これは第一歩だ。日本球界のさらなる発展のため、日本独自の新たなFA制度が構築されればいいと思う。(デイリースポーツ・今野良彦)

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