【野球】大谷翔平と息ぴったりのボールボーイ「パルドくん」の正体 頭にすっぽり兜、頬をペチンも 抱く夢は?
「あまりにも突然のことで緊張する間もありませんでした」。
5月20日のツインズ戦でエンゼルスの大谷が六回、右中間へ11号ソロを放った時のこと。球団にすっかり定着している本塁打の儀式。兜を持ってベンチの前で英雄の帰還を待ち構えたのは、ボールボーイのスティーブ・パルドくんだった。
その日の試合前に開幕から“兜係”を自ら買って出てチームを盛り上げてきたブレット・フィリップス外野手がメジャー40人枠から外され、チームを去った。
「今日から誰が行くんだろうと思っていたら、いきなり、バッシー(クオリティーコントロール・コーチのティム・バス)に兜を渡されて行くように言われました」
青天のへきれき。しかし、そこは2年前に大谷が敬遠四球で歩かされるたびに道具を取りにいくなど、交流してきた間柄。ヘルメットを脱いだタイミングを見計らってすっぽりと兜をかぶせると、4日後の12号でも大役を務める。兜をかぶせる瞬間に大谷がピョンと跳ねる“アドリブ”にもしっかり対応。見る者の心を和ませた。
26日のマーリンズ戦では、4打数無安打に抑えられた大谷とベンチの中で驚きのシーンを披露する。選手から気合を入れてくれと頼まれたのだろうか。大谷と向かい合ったパルドくん。ちゅうちょしながらもスーパースターの頬をペチン。中継局ブースを沸かせた。
いつも笑顔を絶やさず、チームにポジティブな空気をもたらしているパルドくん。その立派な口ひげから予想するのは難しいが、年齢は23歳。カリフォニア州立大で運動学を専攻する大学生だ。
大谷の2年目の19年から球団で働き始め、今年で5年目。かつて「ショウヘイはとても謙虚な人。偉ぶるところが全くない」と話したことがある青年には大きな目標がある。
「理学療法士になってエンゼルスの選手たちのために働くことです」。
パルドくんの夢を応援したい。
(大リーグ担当・小林信行)